じっぱひとからげ

十把一絡げになんでもかんでもつづる。

労働力調査の標本に選ばれて調査に協力した話

 ある日、自宅の郵便受けに京都府からの労働力調査の依頼が入っていた。最初に封筒を見たとき、国勢調査かなと思っていたが、これは国勢調査ではなく労働力調査という総務省統計局の施策らしい。
f:id:jippahitokarage:20180701104331j:plain

労働力調査とは

 こちらに総務省統計局の公式の説明*1がある。

 労働力調査は,我が国の就業・不就業の状況を把握するため,一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約4万世帯の方々を対象に毎月調査しています。
 労働力調査の結果は,これら調査世帯の方々の御理解・御回答によって得られており,この調査から明らかになる完全失業率等が景気判断や雇用対策等の基礎資料として利用されています。
統計局ホームページ/労働力調査

 面倒だな、避けられるなら避けたいなと思いながらも、どうしても答えなければならないのかどうか確認してみたところ以下のようなQA があった。

f:id:jippahitokarage:20180804161748p:plain
統計局ホームページ/労働力調査に関するQ&A(回答)

  この調査の元となっている統計法では報告をしない場合の罰則規定もあるとされている。 実際に本当のサイトに紹介されている統計表を見てみると、以下のような記述がある。

 (報告義務)
 第十三条 行政機関の長は、第九条第一項の承認に基づいて基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。
 2 前項の規定により報告を求められた者は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。
 3 第一項の規定により報告を求められた者が、未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者を除く。)又は成年被後見人である場合においては、その法定代理人が本人に代わって報告する義務を負う。
総務省|統計制度|統計法(平成19年法律第53号)

 つまり、この統計の標本に選ばれた人は拒む権利がないのだ。


この調査の仕組みって悪意のある人に簡単に利用されない?

労働力調査の流れ

1. 労働力調査の依頼のはがきが届く
2. 調査員が調査票を持ってくる(手渡し or 投函)
3. 調査票を記入する
4. 調査員が調査票を回収しにくる(手渡し)

 まずは、このように調査の対象に選ばれたことを通知するはがきが届く。
f:id:jippahitokarage:20180517190157j:plain

 統計の目的が労働力の調査であることから、個人情報はもちろんのこと、雇用形態や会社名、勤務日数など詳細に情報を書くことを求められる。
 これらの個人情報を、調査員を名乗る人に直接手渡ししなければならないというのは、昨今求められるているセキュリティレベルから考えると非常に脆弱な仕組みだ。 もし、この労働力調査の実施要領を心得ていてる悪意のある人がいたとすると、調査員を騙ってターゲットとする家から個人情報を盗み出すなど造作もない。調査員は調査員証を携行していると言われても、そんなものはあてにならない。調査員証が本物かどうかなど一般の我々には判断がつかないからだ。国や京都府はこんなやりかたで良いと考えているのだろうか。不安に思った私は京都府の企画統計課の労働力調査担当にメールをした。

このようなハガキが投函されていました。
本物でしょうか?

京都府企画統計課から返事が返ってきた。

[建物名 部屋番号]様

 この度は、お忙しい中、連絡を頂きありがとうございます。
お問い合わせ頂いた件ですが、こちら統計局が所管し、京都府企画統計課が
行っております「労働力調査」という正式な調査となっております。

 労働力調査は毎月無作為に、調査対象地域及び調査対象世帯を選定し、
調査を依頼する形になっており、今回ご回答の方依頼させて頂きました。

 労働力調査は、「失業率」の元データになる大変重要な調査となっております。
今週及び来週を目途に調査員の[調査員名]の方が説明の為、訪問させて頂くことに
なっております。

 お忙しいとは思いますが、ご対応頂けますと幸いです。

 また、ご不明な点ありましたら何なりと連絡頂けたらと思います。

 労働力調査について【統計局HP】
 http://www.stat.go.jp/data/roudou/

 京都府企画統計課 
 労働力調査担当  [担当者名]
 (075-***-****)

少なくとも京都府の企画統計課が認めているものであることは確認できた。

調査票を手渡しする日時の変更は柔軟に対応してもらえる

 調査員が調査票を回収しに来る日は勝手に設定されてしまうが、このために予定を調整するのも億劫なので、回収日時の変更をメールで依頼した。
f:id:jippahitokarage:20180701104522j:plain
 当然、このあたりの対応は自治体にもよるのだとは思うが、京都府の場合は、メールによる日時変更依頼で対応してもらえた。また、このときに指定したのは、"特定の日の特定の30分間"に取りに来て欲しいと時間を厳格に設定した。なぜなら、調査員が本物かどうかわからないからだ。少なくとも、こちらから京都府企画統計課のメールアドレスに明示的に日付と時間を指定して、指定した時間に現れ、かつ調査員の名前まで一致していれば信じても良いだろうという判断だ。回収に現れた調査員には、念の為、「調査員証を見せてください」とお願いし、持っていた調査員証を見せてもらい、名前を確認した。
 ここまで調査員を疑い、本物かどうかを気にしている人は少ないとは思うが、悪用しようと思えば簡単にできてしまう仕組みなので、調査員票は直接手渡しで回収ではなく、郵送させるなど、騙り調査が通用しない仕組みにする必要があるのではないかと感じている。

 余談だが、調査に協力すると、総務省統計局長からのお礼メッセージと、粗品がもらえる。
f:id:jippahitokarage:20180701111538j:plain
 報告義務があるので書かなければならないというところにつけこんだ騙り調査が不安な人は、まずは自治体に連絡して本物かどうか確認したほうが良い。