NIMSが紹介する不思議な材料の性質の動画を見始めると ワクワクが止まらない
NIMS(ニムス)とは国立研究開発法人物質・材料研究機構の略称で、国立研究開発法人である。このNIMSが公開しているYoutubeチャンネル、nimsprがおもしろい。中でも、「未来の科学者たちへ」のシリーズは一つひとつの動画は、たかだか2分〜3分程度だが、不思議な材料の性質を面白い実験でまとめて見せてくれるので、シリーズを一気に全部見てしまうことうけあい。
#02「形状記憶物質」
正方形のフィルムのような物質を手で引き伸ばす。
ピンセットで掴んでお湯に浸すと、
あらふしぎ。元通りの正方形に戻ってしまう。
#03「電磁誘導」
強力磁石をウレタンでかこんだ輪のような形のもの。
これを棒に通して落とすと、棒の素材によって落ちるスピードが変わる。不思議。
#04「超微細加工技術」
植物に寄生するダニの一種を観察する技術力の高さを紹介。
ここまで拡大できると、ダニの口の質感までわかってくる。50μmは赤ちゃんの産毛と同じくらい。
2μmは、大腸菌と同じくらいの大きさだという。よくみるとNIMSの「N」が刻まれている。うそーん、まじかよ。これは人工的に刻まれた文字だという。
#05 「サイアロン蛍光体」
紫外線を当てると白く光るサイアロン蛍光体とNIMSが開発した物質。この物質が開発されたことによって、LED電球やテレビの液晶の実用化させたという。
紫外線をあてると白く光り始めるが、実際には白く光るサイアロンは実在しないという。逆再生していくと、
緑色に光るサイアロンが混ぜられていることがわかる。
さらに、青色と赤色のサイアロンが混ぜられていることもわかる。これらの色の三原色を利用して白色に光るサイアロンを作り出している。
動画では紹介されていないが、当然これらを混ぜる量によって様々な色が表現できるのだろう。
#06 「ダイヤモンドと熱伝導」
ダイヤモンドは最も硬いという性質が知られているが、実は他の物質に比べて圧倒的に熱伝導率が高いというのもダイアモンドの性質であるということがわかる実験。
ガラスのように見える板は人工的に作られたダイアモンド。
これを氷に触れるように設置して、ダイアモンドの板を指でつまむとどうなるか。
指の熱がダイアモンドに伝わり、氷が切れていく。
他の物質と比較しても圧倒的な熱伝導率を誇るダイアモンド。
#07 「見えないガラス」
ガラスと同じ屈折率になるように混合油を用意する。
混合油にガラスを入れると、あら不思議。消えてしまったように見える。混合油とガラス板で屈折率が同じなので、混合油とガラス板の境界で光が屈折せずに素通りしてしまうためだという。
先端にクリップをつけると、クリップが浮かんで見える。
透明に見える仕組みをつかったピタゴラ装置で遊ぶ。ボビンが見えない坂を下っていく。不思議。
#08 「シャープ芯の配向実験」
一般に、鉄やニッケル、コバルトを含むものだけが磁石にくっつくと考えられている。黒鉛や粘土から作られているシャープの芯は磁石にくっつかない。
ところが、シャープの芯を水に浮かべて磁石を近づけると、磁力線の向きにシャープの芯が向く。
これはシャープの芯は長さの向きに黒鉛の結晶が配向しているため、極めて弱い力だが磁力に反応するとのこと。
芯と同じ比重の液体にシャープの芯を浮かべる。
強力な磁石の間に入れると、磁力線に沿って整列する。
#09 「超撥水材料」
里芋の葉は水をはじく性質がある。
ガラスは水をはじかない性質がある。
ガラスに超撥水剤をコーティングすると、水はきれいな水玉になる。
撥水剤をコーティングした部分としない部分をつくると、撥水剤をコーティングしなかった部分に水が留まろうとする。
ここでジグザグに撥水剤をコーティングした部分と指定ない部分を用意して、この上に水滴を垂らすとどうなるのか?
平らなガラス板においた水滴は、撥水剤がコーティングされていない方に移動した。
撥水性の差を利用した「撥水による液滴輸送」に応用できるのだという。一体何に使うのかよくわからないが、医療現場での活用が期待されているのだそうだ。
#10 「熱膨張」
アルミニウムの熱膨張の量はわずかなので肉眼では見えない。そこで、アルミニウムの下に針金を通すことで、針金が動く様子からアルミニウムの膨張を可視化することができる。
熱したスプーンをドライアイスでキンキンに冷やした鉛の上に置くとどうなるか。
接している面が熱膨張を繰り返すことによって、ベルのようなジリリリという音がなる。熱膨張の様子は可視化ばかりでなく、音にかえることで認識することもできる。
#11 「低融点合金」
ハンダゴテで簡単に溶かすことができるハンダだが、その元となっているスズや鉛はハンダゴテでは溶かすことは難しい。それは金属を混ぜて合金にすると原子同士の結合が弱まり、元の金属より融点が下がる。
融点が47℃の合金。
お湯で溶けて水銀のようになってしまう。
電池とLEDつくった簡単な回路の上に、
溶けた合金を流すと、もちろん電気が通る。液体になっても電気を通す性質は変わらない。火災時のスプリンクラー作動の契機として活用されるらしい。