人生を3つのステージで考える時代は終わった LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略
京都市内のラーメン屋*1でラーメンを食べた後、カフェでコーヒーを飲みながら、「そういえば、こんな本読んだよ」と友人が本を紹介してくれた。その場でKindleで買って、その週のうちに読み切った。最近もう一度読み返してみたので、自分なりにまとめてみようと思う。
- 作者: リンダグラットン,アンドリュースコット,池村千秋
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/10/21
- メディア: 単行本
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LIFE SHIFT - 100年時代の人生戦略 サマリ
本書をまとめるとざっくりこんなところだ。
- 20世紀には「教育のステージ」、「仕事のステージ」、「引退のステージ」の3つにわける考え方が定着していた
- 人は長生きするようになったので、「引退のステージ」が長くなると、長い引退生活を送るための十分な資金確保が必要になるので、古い3ステージのモデルはあてにならない
- 働く年数を長くするか、少ない老後資金で妥協するという選択に迫られる
- 悲観するのではなく、3ステージの人生の縛りから自由になり、仕事を長期間中断したり、転身を重ねたりしながら生涯を通じて様々なキャリアを経験するマルチステージの人生を実践すべし
本書では、時代背景の3人が登場して具体的な例を挙げて説明している。
- ジャック 1945年生まれ (人生3ステージが機能した時代)
- ジミー 1971年生まれ (マルチステージ時代)
- ジェーン 1998年生まれ (まったく新しい時代)
読者はそれぞれこのいずれかに自分を投影して読むことになる。第5章 新しいシナリオ でより具体的にどんな人生を歩んでいくのかを示してくれているが、これらは順風満帆過ぎて、はいはい、それは良かったね。という気持ちにしかならないので、第4章までのマルチステージ時代の考え方に絞っておく。
キーワードは「無形の資産」
長生きするようになれば、働く期間が長くなり、貯蓄の重要性も高まる一方、長い人生の間に産業や雇用のあり方も大きく変わっていく。ゆえに100年ライフで注目すべきは、目に見える「有形の資産」だけでなく「無形の資産」であり、変化にどのように対応していくのかというところを意識しなければならない。
本書ではマルチステージ時代を生きる上で重要になる「無形の資産」について3つに分け、何が必要なのか、なぜ必要なのかを説明している。
生産性資産
- スキルと知識
- 仲間
- 相互の信頼で結ばれた小規模な仕事仲間のネットワーク
- このようなネットワークのメンバは互いに似たスキルと専門知識を持ち、職業上の成長を支え合うことができる。互いに信頼し合い、互いのコーチや支援者になり、人脈を紹介し合い、貴重な助言を送り合う。本書では「ポッセ」と呼ばれている。
- 相互の信頼で結ばれた小規模な仕事仲間のネットワーク
- 評判
- 個人としてのブランド
- どんなに価値のあるスキルや知識をもっていても、好ましい評判がなければそれを生産的に活用できない
- みずからのこれまでの行動の産物であり、みずからの生産性に大きな影響を及ぼすものでありながら、自分で完全にコントロールすることはできない
- 個人としてのブランド
活力資産
- 健康
- 長寿化時代においては、健康の価値がいっそう大きくなる
- 50歳のときに病気で働けなくなることのダメージは、寿命70歳の時代より、寿命100歳の時代のほうがはるかに大きい
- 無形資産への投資の一貫として、適切な食生活を維持し、運動を習慣づけるべきである
- 長寿とは不健康な期間が長くなるわけではない
- 近年の研究では、齢を重ねるごとに単調に不健康になるわけではなく、健康に長く生きるようになるという予測がある。生活習慣の改善により、不健康な期間は人生の終局の数年にとどめることができると考えられている
- 長寿化時代においては、健康の価値がいっそう大きくなる
変身資産
- 自分についての知識
- 変化を経験しながらもアイデンティティと自分らしさを保つ
- 自分についての理解している人は、人生に意味と一貫性を持たせる道を選びやすい
- 「何かが変わるとき、何がかわらないのか」が重要な意味を持つ。
- 変化を経験しながらもアイデンティティと自分らしさを保つ
- 多様性に飛んだネットワーク
- 「ポッセ」と重ならないウィークタイズ(弱い絆)
- 新しい職に関する情報は親しい友達ではなく、それほど緊密な関係にない知人から寄せられる。
- 「ポッセ」は自分が持っている情報と重複するが、ウィークタイズは新しい情報を持っている。
- 「ポッセ」と重ならないウィークタイズ(弱い絆)
- 新しい経験に対して開かれた姿勢
- 型にはまった行動の打破 ルーチン・バスティング
- 日常生活は決まった行動パターンで構成されているが、変身の過程では行動パターンが脅かされ、不安にさいなまれる
- 型にはまった行動の打破によって好結果がもたらされると、新しい行動パターンを自分のアイデンティティとして組み込むことになる
- 既存の行動パターンを破壊することが、変身資産の増強につながる
- 型にはまった行動の打破 ルーチン・バスティング
所感
なに!そんな時代がやってくるのか!という驚きはない。まあ、なんとなくそんな気はしていたけれど、やっぱりそうだよねという再確認と、32にもなったことだしもう少し健康には気を使おうかなという動機づけにはなると思う。
- 作者: 東浩紀
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2016/08/05
- メディア: 文庫
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他の友人に勧められた別の本「弱いつながり」でも扱われていたくだりがここでも登場していた。個人的には何事にも臆しない「新しい経験に対して開かれた姿勢」については意識してきたつもりだし、これからも意識しようと思っている。東京から京都へと住む場所を変え、仕事を変え、というのもその要素の一つだと思っている。積極的に新しい経験を取り込みたい。
紹介してくれた友人も話していたが、本書は決めつけで書かれている部分が多く「そうなの?」「ほんとうに?」と気になる部分が登場するが、必要とされるであろうスキルや知識は概ね賛同できるので、前述の通り、再確認、くらいな気持ちで読むのが良いと思う。