じっぱひとからげ

十把一絡げになんでもかんでもつづる。

バンド演奏を見ても誰がどの音を出しているのか識別できないという人は実は多いのかもしれない

もはやライフワークともなっている結婚式の余興でのバンド演奏にシンセ担当として出演。今回は嫁と共通の友人の結婚式ということもあって、初めて嫁と一緒に結婚式に出席した。

自分は演奏に参加しているので、嫁に動画の撮影をお願いしていた。演奏終了後、不安そうな顔でカメラを返してきた嫁は「誰を撮ればいいのかよくわからないから、画はちょっと自信がない」という。

バンド演奏を見ても「誰が」「どの音」を出しているかわからない

嫁はもともと写真が趣味で、アマチュアでありながら友人らに結婚式の前撮りをお願いされるほどの腕前で、瞬間を切り取る上での構図にはそれなりに定評がある。しかし、ことバンド演奏の動画となると「誰が」「どの音」を出しているのかがわからないので、どのタイミングで誰を撮影すれば良いのかがわからないのだという。

これは驚いた。ただ、驚いたと同時に、それはそうかと納得もした。嫁はほとんど楽器の経験が非常に浅いのだ。まず、その楽器を演奏するとどんな音がなるのかを知らなければ、当然、なっている楽器の音を聞き分けることもできないし、楽器のどの部分をおさえると高い音がでて、どの部分をおさえると低い音が出るのか、どのような動きだとどのようなリズムを刻むのかを知っていなければ、「誰が」「どの音」を出しているのか認識できない、よく考えてみれば当たり前のことだった。

曲の途中でギターが目立つ部分やシンセの音が目立つ部分があっても、その音を誰が出しているのかがわからず、誰にフォーカスすれば良いのかわからないまま、注目すべき場所を撮り逃してしまうという。もしかして、楽器を演奏していた人としていない人では、音楽の聞こえ方が全然違うのかも知れない。

であれば、オーケストラはなおさらだろう。あまり意識したことはなかったが、今回の気づきから、オーケストラにおいて、どこで何の音がなっているのかを聞き分けて楽しむのは私の中の楽しみ方の一つかもしれないと思い始めた。楽器がもともと持っている音域の守備範囲のことはもちろん、それぞれの楽器固有の音色が醸し出す雰囲気も、楽器のことを知れば知るほどもっと楽しめるはず。

楽器のことをもっと深く知れば、ここぞというところで息を大きく吸い込むブレスの音や、ギター演奏中の弦を指でこするときになるキュっというフレットノイズという音もまた味わい深いものにも思えるはず。