私が同世代の人よりアニメや漫画に疎いのはぜんぶ衛星アニメ劇場のせいだ
高校生のときも、大学に入った頃も、会社に入ってからも、「え、スラムダンク読んでないの?信じられない」、「ドラゴンボールも読んでないとか日本人じゃない」「ハンターハンター面白いのに」「ワンピースは泣ける」等々いろいろアニメ・漫画に関するあれこれをまわりの人たちに言われてきた。アニメや漫画については、すごく売れた作品や、現実世界で引用されるメッセージについては調べて知っておくようにしている。
例えば、試験前や仕事で時間的な制約に追われている人は「精神と時の部屋に入りたい」と口々に言う。精神と時の部屋とはでググってほうほう、そういう描写があるのかと雰囲気だけキャッチするという具合である。他にも、苦しい状況下にあるときに「諦めたらそこで試合終了ですよ…?」と助言する人がいる。これも同様にググればどの漫画のどの描写なのかは確認できる。「ポルナレフ状態」ふむふむなるほど。もういいか。
さて、これほどまでにアニメや漫画に疎いのはなぜかずっと考えてきた。別に嫌いな訳ではない。むしろ好きなのに、全然見てこなかった。みんなが幼少期にアニメや漫画を見ていた時間私は何をしてきたのか。
一つの答えは、衛星アニメ劇場にあると思う。
小学校に入る頃に引っ越しをして新しいテレビを買ったのを機に我が家では衛星放送が見られるようになった。BS2の衛星アニメ劇場をよく見ていたのを覚えている。当時まだ衛星放送が一般化していなかったように思う。イメージとしては小学校のクラスに数人いるかどうかといったところだ。
Wikipediaの情報から考えると、パーソナリティである歴代お姉さんの大崎美奈子さんの時代がもっとも見ていた時期だと思う。小学1年生から小学3年生くらいだ。覚えている作品をピックアップしてみる。順序はおおよそ小学生の始まりから中学生の終わりくらいまでの年代順になっている。
- フランダースの犬
- みつばちマーヤの冒険
- アタックNo.1
- ガンバの冒険
- 魔法少女レインボーブライト
- ガジェット警部
- ニルスのふしぎなたび
- ムーミン
- 忍者タートルズ
- ポールポジション
- 宇宙伝説ユリシーズ31
- キャッツ&カンパニー
- トッポジージョ
- おはよう!スパンク
- ジャングル大帝
- ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年
- ひみつのアッコちゃん
- ロビンフッドの大冒険
- ふしぎなメルモ
- 宇宙戦艦ヤマト
- キャプテン翼
- 新キャプテン翼
- うる星やつら
- 魔法の妖精ペルシャ
- おまかせスクラッパーズ
- あずきちゃん
- カラオケ戦士マイク次郎
- 飛べ!イサミ
- カードキャプターさくら
- 未来少年コナン
こうして並べてみると、日本の古いアニメと日本ではあまりメジャーではない洋アニメがその多くを占めていることに気づく。同世代の人と懐かしいアニメの話が合わないのも無理はない。
中でも一番好きなのはガンバの冒険。
ガンバの冒険 - Wikipedia
1975年に放送されたアニメらしい。衛星アニメ劇場では再放送されたことになる。私の中で野沢雅子さんは、悟空の人はなくガンバの人という認識の方が強い。
ガンバに登場するラスボス的なイタチのノロイが怖すぎて完全にトラウマを植え付けられた。今見てもやっぱりノロイの絵が怖い。怖過ぎる。イタチのノロイによって故郷を奪われたねずみである主人公のガンバは仲間とノロイと戦うたびに出る。悲し過ぎるエンディングテーマとトラウマのノロイはこちらの動画を参照。
ガンバの冒険ED「冒険者たちのバラード」 - YouTube
悲し過ぎるエンディングの歌詞はもう完全に絶望的である。
さかまく波とひらめく空が ガンバと仲間を打ちのめす
旅はもうこれまでだ 冒険をうちきろう
けれどガンバはゆびさした 小さな島をカモメはうたう悪魔の歌を 帆柱に朝日は昇る
けれど夕陽はおまえと仲間の ドクロを映す
ガンバは旅の途中でいろいろな動物たちに出会って刺激を受け成長して行く。中でも、ガンバとリスらとの出会いは幼いながらに衝撃を与えたのを覚えている。
ザクリというキツネから身を潜めているリスのクリークは、ガンバに対してここは危険なので今すぐに島を去るように忠告した。しかしガンバはザクリからの襲撃という身の危険にさらされているリスらが放っておけずに、なんとかしてザクリを退治せんとガンバはザクリに戦いを挑むのであった。しかし、
「忠告を無視してとんだことをしてくれたな。なぜ忠告通り島を出て行かなかった。なぜザクリに余計な手出しをしたんだ」
クリークの仲間がザクリに殺されていた。
「君たちがザクリを怒らせた結果だ。ザクリは我々が君たちをそそのかし歯向かったと思って怒ったんだ。君たちのつまらない英雄気取りが僕たちの仲間を殺したんだ」
クリークは続けた。
「本当のことを言う。僕たちはザクリの冬の食料なんだ。この島に冬がきて食料がなくなったとき、いつでも食える食料さ。だから、こんな風に無駄に殺すことは決してなかった。そう、せいぜい年に4、5匹だ。それが我々とザクリとの長い間の戦いの末作り出された、この島のルールなんだ。君たちは余計なことをしたんだよ。だが、もういい。」
ガンバは納得がいかなかった。
「おかしいよ、なんかおかしいよ。結局はザクリの言いなりじゃないか。ねえ、みんな俺たちはまちがっていたのかよ。俺たちはただの英雄気取りだったのかよ。」
そう、当時はあまり意識していなかったがガンバの冒険は全般的に「自然」や「生態系」をテーマに描かれている。よかれと思っていたことを正義と疑わずに実行した結果が必ずしも正解ではないということを幼いながらに植え付けられた瞬間であった。ストーリーの断片をググりながらたどり着いたこの第8話だが、今見てもやはり胸の奥にずっしりとくるテーマだと思う。
同世代で衛星アニメ劇場をたっぷりみてきた人とはとても仲良くなれそうな気がする。