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じっぱひとからげ

十把一絡げになんでもかんでもつづる。

結婚式を半年前にキャンセルしたら申込金10万円をそっくり持っていかれた話

ちょうど1年前の出来事だ。自分の中ではとても嫌な思い出なので、あまり筆を執る気になれなかったが、なかなかレアな経験ではあると思うので共有しておこうと思う。

ここでクソ対応の結婚式場をキャンセルし、10万円という高額な授業料を支払ったことで、親族のみの海外挙式に踏み切ることができたので結果的には満足している。これから結婚式を挙げようという後進へのアドバイスになれば。

結婚式予約からキャンセルまでの流れ

  • 2015年10月中旬
    • 某式場の下見をして、約1年後の2016年10月の予約をとる。担当者A氏と契約をかわして費用のうち10万円を申込金として納める
  • 2016年03月下旬
    • 式の半年前 になり打ち合わせ案内の封書が届いたので、打ち合わせ日程について契約時の担当者にメールして打ち合わせの日程調整をしようとするも、2週間ほど音沙汰なし
  • 2016年04月上旬
    • 式場に電話すると「契約時の担当者は退職した、今の担当者はB氏である」と初めて伝えられた
      • この時点で対応の悪さに憤りを感じている
    • 当時、共働きで嫁はそれなりに多忙な現場のSEであったこと、私は仕事終わりに転職活動していた時期*1でもあり、平日に時間を割くことが難しく、土日に打ち合わせしたいと連絡
    • 土日は挙式で忙しいからNG、平日でお願いしていると連絡があり、しぶしぶ平日の20時から打合せをすることになった
  • 2016年04月中旬
    • なんとか時間を作ってきた平日20時からの打ち合わせの内容が電話で済むようなしょうもないQAしかなく、なんのためにわざわざ式場までこちらから出向いて打ち合わせに来たのかと怒りを通り越して呆れた
    • 契約時にすでに伝えていたことが引継ぎされておらず、完全に二度手間になっていた
    • こちらが対応の悪さに怒り心頭に発していることへのケアが何もされないまま打ち合わせが行われた
    • 打ち合わせの最中に嫁と二人で顔を見合わせ「やめよう」と判断。嫁が気に入っていた式場で、嫁が選んだということもあるので、自分が一人だけ腹を立てているなら我慢しようと思ったが、嫁のほうから「やめようか?」と言ってくれたのですぐに決意した。「ここで挙式を上げることをやめたいので、マネージャと話をさせてくれ」とお願いする
    • 「マネージャは不在なので後日電話をさせて欲しい」と回答があり、翌日電話することになった
  • 翌日
    • 「キャンセルするので10万円を返して欲しい」ともちろん契約上、このお金は返ってこないことわかっているが、我々の本音をぶつけるようにマネージャに話した
    • 不手際については謝罪する。気になることはすべて改善として取り込むのでどうしても我々の式場で式をあげて欲しい、と電話越しに泣きながら訴えてくる。それでもキャンセルしたいというのであれば「自己都合」である、10万円は返金できないとのこと
    • 10万円が返金できないことを了承し、解約に関する手続きを教えてもらい、解約をすすめる

なるほど「気になるところはすべて改善するのでうちで式をあげてくれ、それでも嫌なら自己都合」とてもよくできたロジックだこと。ある意味、感心である。

我々がゆずれなかったこと

10万円が返ってこないとしてもこの式場で式を挙げたくない。この式場にこれ以上お金を払いたくない。そう思わせたのは、我々が全幅の信頼をおいていた契約時の担当者A氏退職の事実を我々に伝えられず、ないがしろにされたこと大きかった。

かゆいところに手が届く式場スタッフA氏

我々がこの式場にしようとすぐに判断したのは、下見から契約までをケアしてくれたA氏のおかげだった。

式場を選ぶためにいくつか下見をした。結婚式ビジネスの業界では、ブライダルフェアなるものが週末に企画されている。結婚式というものがどのようなものかをイメージさせる体験会から契約につなげるというものだ。中には、披露宴で参加者に出す食事を試食できるというものもある。この下見の内容はある程度パッケージ化されていて、2時間や3時間を予定されているものが多い。

前述の通り、我々は仕事や転職活動に時間をとられてゆっくり過ごす時間もあまりなかったこともあり、2時間や3時間を式場選びに取られたくなかった。そこで、事前に式場側には「○時に予定があるので、△時には出たい」と事前に伝えて、彼らのパッケージを全部見るのではなく、こちらが気になったものだけ選択して見れるように調整をお願いした。

嫁が調べた中で一番のお気に入りの式場に最初に下見にいった。式場を紹介してくれたのはA氏だった。A氏は本当に我々の気持ちをよく汲み取ってくれた。下見にあまり時間をかけたくないということもよく把握した上で、我々のために下見のための時間をカスタマイズしてくれた。

これは後でわかったことだが(想像すれば分かる話でもあるが)、式場ビジネスは前述の通り土日がサービス提供日でありもっとも忙しい。そんな中、式場を下見するとなると本番稼働しているサービス提供時間の合間をぬうことになるので、時間的な制約が大きい。おそらく、それゆえに下見パッケージは2時間や3時間の余裕を見ているのだと思う。

A氏は、下見の会場に向かう合間で彼自身の話をしてくれた。今の結婚式場のスタッフとして働きはじめる以前、他の会社に務めていたこと、なぜ転職するにいたったのかなど具に話してくれた。人にもよるかも知れないが、私はこの点で彼はとても好印象であった。我々はこれから数百万円の買い物をするかもしれないので、この式場が、この人が、サービスが、信用に足るかどうかを判断したいのである。海の物とも山の物ともつかない状態から始まるのではなく、まず担当者である彼が彼自身について話してくれたのでとても気に入った。

彼の説明は本当にかゆいところに手が届いた。嫁が教会のステンドグラスについて気に入っている様子を見つけると、それについての説明をしっかりしてくれた。他の教会と比較してもここの教会のステンドグラスは美しく人気が高いという情報も教えてくれた。彼が面白いのは、彼は会社という立場を度外視して「ステンドグラスがきれいな独立教会というくくりでいえば、このあたりだとXやY、Zなんかも人気があるので見に行ったほうが良いと思います」と他社の結婚式場まで紹介してくれたのだ。それも、他社のことまでよく調べている様子だった。もちろん、他社と比較しても優位であるという自信があるからこそではあるかもしれないが、「この人は本当に我々のことを考えてくれているんだ」「信じても良さそうだな」そう思わせるには十分だった。

「式場の下見は何件以上したほうが良いっていう記事見ました」という話を嫁がA氏にしても、「いやいや、いいんですいいんです、そんなにたくさん見にいっても疲れちゃいますよね?何件ということではなく、気になるところだけおさえればいいと思いますよ」と返す。我々があまり下見に時間を割きたくないということは、言動や態度からわかったのだと思う。我々の思いの合わせた説明や回答をしてくれていた。回答の早さや柔軟性、彼の思いも含めて話している様子から、会社としてのマニュアルに沿った説明ではなく、彼自身から発せられている言葉なのだなということは手に取るようにわかった。

「A氏がいるなら」と二人とも彼が気に入っていた。ただ、式場の契約上、実際に式の準備を進行するスタッフは必ずしもA氏というわけではなく、時期が来たら改めてスタッフが紹介されるということだった。でも、何かあればA氏に相談できると思えば違うスタッフでもかまわない。嫁のお気に入りの式場を二人のお気に入りのスタッフA氏のもとで契約し、10万円の申込金を支払った。

式場から連絡されなかったA氏の退職

契約から半年や1年後のことなど誰にもわからない。だから契約したときに二人が気に入っていたスタッフA氏が退職することなど誰も想像できなかっただろうし、そんなことは誰も止めることはできない。仕方のないことである。事実、契約書にも契約時のスタッフがそのまま式を取りまとめるということは約束されていなかった。ただ、我々が憤りを感じているのは、A氏が退職したという事実が我々に伝えられなかったこと、そして、A氏からの引継ぎがしっかりされていなかったことである。

我々は、現時点で人生で最も大きな買い物を契約をしたのである。その契約を交わした担当者が退職したのであれば、退職の事実があった時点でそれを契約者に伝えるという会社としての対応があって然るべきではないだろうか。何のフォローもないどころか、こちらから「メールで連絡がつかないがどうなったのか」と電話で問い合わせて初めて退職の事実を知ることになった。完全になめられている、本当に腹が立った。

担当者がB氏に変わっての初めての打ち合わせで、この件について説明があるかと思えば、第一声はこれだ。

「どうですか?実感は湧いてきましたか?」

思わず嫁と顔を見合わせてしまった。もちろん、新しい担当者B氏は何も悪くない。会社が悪いのだ。すでにA氏に伝えたことを、またB氏から尋ねられると辟易した。引継ぎがしっかりなされていないあたりを見ると、B氏もまた我々と同様に被害者であり、会社の対応の悪さに巻き込まれただけなのだろう、我々も腹を立てていたが、B氏もかわいそうだった。

「神父さんは日本人がいいですか?外国人がいいですか?」
「ブーケトスのときの掛け声は『未来の花嫁のみなさま』にしますか『幸せを望むみなさま』にしますか?」

最初の打ち合わせでこの粒度で始まるのか。大丈夫か。打ち合わせはできるだけ時間をかけたくなかった。忙しい中時間を割いて行ったのにメールや電話で済むようなQAしかなかった。B氏を目の前にしていることもあり二人の間に会話はなかったが、質問のたびに顔を見合わせて苦笑いしてしまった。両家の親や兄弟の予定をおさえて決めた2016年10月の日取りをキャンセルするという決断は早かった。もうこれ以上、この式場に時間もお金も取られたくなかった。

式場マネージャとの電話でキャンセルを伝えた

以下を不服としてキャンセルする旨、申込金10万円の返金を訴えた。

  • A氏の退職について連絡がなかった
  • A氏からB氏への引継ぎがなされず、二度手間になっている。ただし、B氏に非はない、むしろ逆境の中、頑張ってくれていたと思う。これは会社としての引継ぎ対応が不十分であるという問題である。
  • 貴社への不信感が高まっている
  • 打ち合わせ用Webサイトのセキュリティが脆弱である(後述)


マネージャの回答はこうだった。

  • 約款通りの扱いとなるため10万円の返金はできない
  • 引継ぎが不十分だった点は100%弊社に非がある大変申し訳無い
  • 後任Bへの気遣いまで身に余る思いである
  • 二人の幸せのお手伝いをさせて欲しい。改善に務めるので式をこのまま挙げて欲しい
  • それでもキャンセルするということであれば自己都合ということで約款通りの整理となる

マネージャは電話越しに泣いていた。

もちろん、私だってタダで結婚式を予約できないというのはビジネス上の理屈からもわかっている。予約を入れたのにキャンセルされたとなれば、その期間の機会損失は補填してもらわねば、という気持ちも十分わかっている。だから10万円は、そもそも返ってくるとは期待していなかった。でも言うべきことは言っておきたい。

「謝罪の気持ちはしっかり伝わってきましたし、マネージャさんの気持ちもよくわかりました。ただ、感情に任せてこの話ばかりしていても次に進めないので、それはそれとして理解しましたので、次の話をさせてください」

そう整理した上で、話をすすめる。

「結婚式ビジネスのプロであるあなたへの質問です。争点が明らかになれば弁護士に相談してみようと思うのですが、このような背景でキャンセルをした場合に返金されたというケースはどのようなものがあるのでしょうか?」

「こちらの不手際があり、それがどのような手段をもっても改善できないという場合に返金にいたるケースがございます。例えば、予約していた日取りがタイミング悪くほかとぶつかってしまい、お約束できないなどです。今回のケースで言えば、我々が至らなかった部分はすべて改善に努めてまいりますので、このまま式を我々の式場で執り行わせていただければ」

「改善とおっしゃっていますが、私はあなた達を信用していません。修復は不可能だと思ってキャンセルをさせていただこうとしています。弁護士に相談してみても良いですか?」

「はい、ただ…」

「ただ…何でしょう?」

「正式に返金の有無についてお話するということであれば、約款にしたがってキャンセル料を申し受けさせていただくという形で我々の方も話をすすめさせていただくことになります」

「どういう意味ですか?」

「はい、約款では式の半年前を切ってからのキャンセルはキャンセル料として「申込金の全額+会場使用料の20%および販売価格をちょうだいすることになっております(以下、第7乗の3)。」

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(出典:某社 結婚式・披露宴会場ご利用に関する共通約款 第7条キャンセル料より)

「つまり、10万円が返ってこないだけでなく、御社は我々に更にキャンセル料を追徴すると言ってます?」

「はい、大変申し訳ありませんが、約款の内容に準拠した形で申し受けさせていただきます。お客様の幸せな結婚式に向けて私共は最善を尽くさせていただきたく思います。しかし、今この時点でもうお客様のお気持ちとして、キャンセルなさるということがお決まりのようでしたら『半年よりも前にキャンセルの意志を表示なさっていたという整理(第7条の2)』でお申込み金以外の追加キャンセル料はいただかないということもできます。それが私共にできる限りの調整です」

もう呆れてモノも言えない。そうなんだ。結婚式ビジネスというものはそういうものなんだ。なにかもうこの時点で完全に吹っ切れた。「本当は追徴キャンセル料がかかるところだが、10万円で手を打たないか?」ということらしい。

いや、わかる。そりゃ数百万の契約が飛んで、入るはずの数百万が入ってこないなんていうことになれば、申込金の10万円をもらったって焼け石に水。会社としての損失は多大なものだろう。気持ちはわかるけれど、結婚式ビジネスの裏側が見えた。そんな気がした。

言い方次第、やり方次第で本気を出せば10万円は取り返せただろう。ただ、もうこの人達には関わりたくないという気持ちのほうが先行してしまい、10万円で手を打った。一般的にはこれを泣き寝入りと呼ぶのだろう。ただ、自分としては学びの多い10万円だったとも思う。1年たった今、冷静になって書き起こしてみると、この10万円の件で裁判を起こしてみた方がもっと学びが多かったかもしれないとも思ったが、当時はあまり時間がとれなかったし、結婚式は自分だけのことでもないのでなかなかそこまで踏み切ることはできなかっただろう。後進のみなさんが同じ事態にぶち当たったら、ぜひチャレンジしてみて欲しい。

おまけ:セキュリティがスーパー脆弱な個人情報を扱う専用サイト

(私の名前) 様、(嫁の名前) 様


(式場の名前)では、結婚準備をサポートするお二人専用のサイトをご用意致しました。
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まさか。まさかとは思うが…このIDと初期パスワード(PASSとWORDの半角スペースは原文ママ)の文字列の生成ルールは、もしかして…。

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初期ログイン時にパスワード変更も強制されないし、本文中にも必ず初期パスワードは変えなさいと促すメッセージもない。数字2桁 半角英字1桁 YYYYMMDDの数字8桁だと、おそらくものの数時間もあれば、初期パスワードを変更しない程度のITリテラシの最近の顧客情報はぶっこ抜かれるだろう。過去のIDを無効化していない作りなのであれば過去分も含めて全部ぶっこ抜かれるのは時間の問題。

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当然、この脆弱なセキュリティの専用サイトについてはこの会社にフィードバックした。これをダシに10万円を取り返してもいいのではとさえ思った。流石に指摘してからもう1年も立っているので、もう対策済みだとは思うが…。結婚式ビジネスとは、こういうことを平気でやってしまうような人々によって運営されているのだ。心してかかるがよい。

もし、サイトが特定できても絶対に攻撃するなよ!絶対にだぞ!