スマートフォンでの動画撮影にこり始めたらDJI OSMO Mobileで映画のワンシーンのような撮影にも挑戦して欲しい
そもそもDJI OSMO Mobileとは一体なんなのか
2016年9月に発売された直後に旅行を予定していたので、スマホでの動画撮影用に発売されてすぐに購入した。
まず、DJIというのは民生用ドローンシェア70%を誇る中国の会社で*1、「回転を制御する」ことに対するソリューションを提供している会社である。
2016年9月に発売されたこのDJI OSMO Mobileは、OSMOシリーズのスマートフォンに特化したスタビライザーである。OSMOシリーズは手持ち撮影用を揃えており、これまではカメラとスタビライザーがセットになった製品が中心だった。そこに新たに加わったDJI OSMO Mobileは自分の手持ちのスマートフォンを取り付けて利用できるタイプのスタビライザーでカメラが装置についていない分、これまでの体化したものよりも安価に手に入るようになった。
DJIの公式プロモーションをみていただけるとその効果がよくわかる。スタビライザーによる手ブレのないドラマや映画でみたようなタッチの動画が、自分のスマートフォンで撮影できるのである。
最近は、Google Photosの自動バックアップが非常に便利なので、スマートフォンでは写真だけでなく動画をよく撮影する。最近のスマートフォンはもうHDはもちろんのこと、4Kが撮れるものまで出ていて、撮影には十分すぎるスペックである。
適当に動画を撮りためておけば、Google Photosのアシスタント機能が、その時、その場所で撮影した動画よろしくくっつけて1つの作品として提案してくれるのだ心地よい。アシスタントに提案してもらった動画はスマートフォン1つで人差し指でポチポチ編集し直すこともできるので、動画におけるもっとも負荷の高い編集作業が簡単になる。
撮って、Google Photosにアップロードして(自動)、作品にして(半自動)、作品をGoogle Photosにアップロード(自動)したら、ローカルの動画を一括削除。この流れでスマートフォンの容量が逼迫することもない。
Google Photosによる動画編集についてはこちらを参照*2してほしい。
買う前に思っていた疑問と使ってみてわかったこと
そもそもどうやって向きをキープしているのか?
OSMO Mobileに内蔵されたモータ制御によってロール・ピッチ・ヨーの3軸をフィードバック制御してくれる。OSMO Mobileは電源OFF状態だと首がだらりん、とした状態になってしまうが電源をONにするとシャキっ前を向いて向きをキープし始める。もちろんモータ音が動画に入ってしまうようなことはない。モータ音は聞こえないほど静かでスムーズな動きでカメラの向きを固定してくれる。
とりつけるスマートフォンはユーザによって姿・形がさまざまであるため、取り付けるスマートフォンを決めたら最初にOSMO Mobile自身に取り付けられた重りで左右のバランスを取る校正作業が必要である。私はGlaxy Note 5という大きめのスマートフォンを使っているが、それでもしっかり固定して使える。
もちろん、同じスマートフォンを何度も利用するのであれば、最初に一度重りの位置を決めてしまえば次からの付け外しで重りの位置を変更する必要はない。
スマートフォンとOSMO Mobileの連携はどうなっているのか?
本来の目的であるOSMO Mobileのスタビライザーの機能を利用して、「カメラの向きをキープするだけ」であれば、実はスマートフォンとOSMO Mobileの接続は必要ない。何を言っているのかというと、例えばスマートフォンの電源OFFの状態でOSMO MobileにとりつけてOSMO Mobileの電源を入れれば、モータによる制御が始まりカメラの向きがキープされる。つまり、OSMO Mobileのスタビライザーとしての3軸制御はスマートフォンからは独立しており、スマートフォンとの連携がなくても機能するのである。上記チュートリアルにもあるように、専用アプリの存在を見せられるとどうしてもそれと連携しなければ機能しないような気になってしまうが、そんなことはない。OSMO Mobile自身は電源さえ入れれば、その先になにがついていようがその向きをキープしようとするのである。
では、なんのためにBluetoothによる連携ができるようになっているのかというと、主にOSMO Mobileを握ったときに親指で操作できる物理ボタンのためである。わざわざスマートフォンの画面を操作せずとも親指一つでシャッターを切ったり、動画撮影の開始・終了を操作するためである。
バッテリーはどの程度持つのか?
公式FAQ*3によると、以下の通り。
Osmo Mobileは、Osmo専用のバッテリーを使用しています。Osmo Mobileは、Osmoと同じバッテリー(980 mAh)を使用しています。
バッテリーは3時間でフル充電できます。バッテリーの駆動時間は3時間~4.5時間です。
ただ、3時間も駆動するといってもHDや4Kで3時間も撮影すれば、撮影以外でもバッテリを消耗するスマートフォンのほうが先に死ぬので、OSMO Mobileのバッテリよりも、どちらかというとスマートフォンのバッテリのケアのほうが重要である。旅行で使用したときは、スマートフォンを使っていない時間にモバイルバッテリーで充電しながらだましだまし使っていた。
操作方法はどんなかんじか?
大前提として、カメラの動きには「回転」と「平行移動」がある。スタビライザーはこの2つの動きのうち「回転」を制御することで「向き」をキープしていることを頭に入れておいて欲しい。「回転」はOSMO Mobileによって自在に固定できるが、平行移動は自分自身の手で吸収するしかない。
自動的にカメラの向きをキープされるとなると、逆に、向きをキープしたくないときに自在に動かせないのでは?という疑問を持っていたが、この「キープしたいとき」と「キープしたくないとき」はOSMO Mobileを握ったときの人差し指にあたるボタンでON/OFFが可能である。
<人差し指をONにしているとき>
ロール・ピッチ・ヨーがいずれも固定され、手元をいくらグリグリまわしても向きが変わらない。向きをキープしたいときに使う。
<人差し指をOFFにしているとき>
ロール・ピッチ・ヨーは手元の向きにゆっくりと追随する。
このON/OFFを使い分けることで、いかにも映画のワンシーンのような撮影ができる。撮影の仕方はこちらの公式チュートリアルが参考になる。このON/OFFの操作ばかりは習うより慣れよと考えるのが良い。触ってみるとOSMO Mobileがどのように機能するのかを理解し、すぐにその感覚をつかむことが出来る。
これは純粋に楽しい。スマートフォンとOSMO Mobileの組み合わせでカッコイイ映像が撮影できると撮影するのが楽しくなる。スマートフォンの動画撮影にこり始めたらDJI OSMO Mobileで動画素材のレベルをあげることに挑戦して欲しい。
OSMO Mobileの残念なこと
公式アプリのカメラのオートフォーカスがイマイチ
DJIが提供している公式のAndroidアプリ(iPhoneアプリは触っていません)を使うことで、シャッターや動画撮影の開始・終了をOSMO Mobileの親指で操作できるのは便利だが、動画撮影時のオートフォーカスが意図した通りに動いてくれない。このあたりは個人の感想に寄るところなので、良し悪しというわけではなく、私の意図通りの動きをしないという意味である。
今後のアップデートで動きが変わる可能性はあるが、Galaxy Note 5で利用している私の感覚で言えば、DJIの公式アプリよりもAndroidのデフォルトのカメラアプリの方が意図した通りにオートフォーカスしてくれるので、DJIの公式アプリは使っていない。公式アプリを使わないということは、スマートフォンとOSMO MobileをBluetoothで連携しないことを意味しており、動画の撮影開始・停止はスマートフォンの画面をポチポチさわるしかない。といっても、動画は写真とは違い、撮影した素材をあとから編集することになるので撮影開始時・終了時は編集時に切れ端として処理されるので作品自体に影響することはない。今後のアップデートでオートフォーカスが改善されることを期待している。
カメラの性能はスマートフォンに依存する
どんなスマートフォンでも取り付けられることを売りにしているOSMO Mobileに対して、これを残念と言ってしまうのはあまり正しくないのは理解している。しかし、このことは忘れてはならないという意味で一言付け加えておく。OSMO Mobileにはカメラがついていない。OSMO Mobileが制御するのはあくまでも「回転」だけである。
私が購入を決めたのは、Galaxy Note 5でなにげなくとったHD動画が思いの外きれいで、スマートフォンだけで撮影できる動画に可能性を感じたことがきっかけである。Galaxy Note 5自身の手ぶれ補正も非常に優秀だったが、これに加えて「回転」を制御できればもうこれは動画撮影用のカメラとして成立する、そう感じてOSMO Mobileを購入した。OSMO Mobileのその機能は期待通りで「回転」を制御した結果、格段に動画のクオリティが上がったと感じている。現状スマートフォンの動画撮影を活用している人はあまり多くないと思うので、スマートフォンで動画撮影をしてみて、そこで少しでもスマートフォン動画に面白さを感じたらOSMO Mobileは買いだと思う。