じっぱひとからげ

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31歳SIerからユーザ企業の情報システム部門への転職(11)

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これから転職しようと考えている人に「家に帰るまでが遠足」よろしく「次の会社に入社するまでが転職」という言葉を送りたい。内定を取ってからが折り返し地点であると。

■年収交渉のジレンマ
多くの場合はオファーの金額、すなわち、想定年収が内定通知書に記載されているため、この金額を見て内定を辞退するケースもあるだろう。もちろん、面接をすすめる中で、現状いくらもらっているのか、いくら欲しいのか、これ以上でなければ選考を進めるつもりはないなどと話題は出るが、公式に金額が決定し、文字として表現されるのはこのタイミングである。ここで納得できる金額に満たなければ辞退という流れもあるだろう。

ここで注意すべきは、内定通知書が出て金額が提示されてからの年収の交渉はできないということ。というよりも、さてここから交渉をはじめようという雰囲気には絶対にならない。なぜなら、内定通知書は人事、現場、会社(社長)の合意を経て初めて発行されるものだからである。これが会社としての決定した年収であると出されたこたえに対してあとからゴニョゴニョと言い出す人間を会社は採用したいと思うかどうか、考えるより明らかである。ゆえに、内定通知書をもらうまえに面接の過程で伝えるべきことは伝えておいたほうが良い。

しかし、ここが難しい。もちろんお金はできるだけたくさんもらいたい。自分の想定している自分自身の市場価値で採用されたい、年収が上がればなお嬉しい、と思う一方で、自分自身がとんだ勘違い野郎でろくなスキルもないくせに、ありえないトンデモ年収を希望して撃沈するのも怖い。恥ずかしい。私はこのような思いから「できれば現状維持で、維持できないようであれば下がることも辞さない」と伝えていた。そうすると、内定まではこぎつけても、結局、年収が下がることへの抵抗から辞退を選ぶということもあった。

合理性だけを考えれば「この金額以上のオファーが出せないなら内定が出たとしてもいくつもりはない」とはっきり言ってしまうのが良いのだが、なかなかどうしてそうはっきりと言える人も多くはなかろう。このあたりは、自分にどれだけ自信があるのかというところが効いてくると思う。1つでも内定をもらえると自信がついてくるので、じっくり考えて活動できるのであれば、色々な会社に自分の評価してもらい市場価値をはかってみるというのも良いかもしれない。

当時はあまりこの感覚を持っていなかったが、人の価値をはかるという難しさは会社側も同じ気持ちである。たった幾度かの面接の中で、価値の尺度であるお金ではかろうというのである。これほど難しいことはない。会社側は会社側で、自分たちが無能過ぎてハイスペックな人間であることを判定できずに低い年収を提示し続けて、優秀な人材からそっぽむかれるようなことがあってはならないし、逆に、無能な人間を高い年収を約束してで入社させるようなことがあれば、現場に示しがつかないし、会社にとっては損害である。彼らも真剣勝負なのである。だからこそ会社側は「いくら欲しいのか」とはっきり聞いてくる。自分自身に思いがあるのであればしっかりぶつけたほうが良い。さきほど、トンデモ収入をぶつけてしまっては恥ずかしい、という話をしたが、100万単位でブレるようであれば「どんなに頑張ってもそこには届かない」とその場ではっきりと答えてくれる。勇気を持ってぼかさずにはっきりと伝えた方が良い。

また、どうしても伝えづらいことがあるときは、エージェントに伝えてもらうのも効果的である。「その場ではこうこたえたのだが、実際にはこう思っている」とエージェントから伝えてもらったこともあった。さながら、プロスポーツの代理人交渉のようで少しワクワクするものだ。

 

さて、満足の行く結果がもらえたら、次は現職の退職交渉に移る。

私が「次の会社に入社するまでが転職」とあえて言っているのは「次の内定をもらうための活動と同様に、会社を辞めようという活動にも神経をすり減らすことになる」ということである。特に、円満退職を望んでいればいるほど退職交渉は慎重を要するため、交渉の仕方を考えることになる。後のことなんか知るか、と切り離して考えられる人では特に気にすることはないのかもしれないが、立つ鳥跡を濁さず、静かに、穏やかに去るのが理想的だろう。

31歳SIerからユーザ企業の情報システム部門への転職(12)に続く。

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