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じっぱひとからげ

十把一絡げになんでもかんでもつづる。

31歳SIerからユーザ企業の情報システム部門への転職(7)

シリーズはこちら。最初から読む方もこちからどうぞ。

jippahitokarage.hatenablog.com

 

6年目にもなろうかという頃、会社歩き方として、何かしらの専門性を伸ばして、社内資格取得を推薦される時期になっていた。いわゆる中堅社員である。もともとインフラ要員として育成され、このままインフラエンジニアとしてこの世界を、この会社を生きていくのだろうと思っていたが、そういうことにはならない気配、ひいては、ITベンダという立場でのビジネスに少しずつ違和感を感じ始めていた。

■会社の歩き方

未熟だった学生時代の私は想像力が欠如していたので、会社に入ってから初めてその事実に気づいたことがある。それは、「会社にはいつでも、自分にあった、自分が取り組みたい仕事があるわけではない」ということだ。未熟な私は、会社というところにはいつでも何かしら仕事があり、その中で自分にピッタリの仕事をこなしてお給料をもらうのだと思っていた。今考えてみれば笑ってしまう。

ITディレクタとは名ばかりの、テイの良い維持運用担当者として1年近くを過ごしていた。格好良くいえばITサービスマネージャいわゆるITSMである。会社としては、本人の得意技を伸ばすという意味からも、業務の実績を裏付けとした面接によってその資格が認められるかどうか判定される仕組みになっていたため、自ずと上司は、ITSMの道を推奨するのであった。こうしてITSMとしてのこの1年間はサーバに触れることは一度もなかったし、技術的な学びはほとんどなかった。ただただ時間が過ぎ、年を取っていくだけ、そんな気がしていた。

「インフラエンジニアとして、インフラの設計・構築に携わりたい」と上司に訴えたが、その後、何一つ変わることはなかった。さらに半年が経とうかという頃、私は会社を辞めた。

■本当に良いシステムを構築するには

お客様先の情報システム部門に1年半過ごして感じていたことは、ユーザが強くならなければ、いつまでたっても良いシステムはできあがらない。ということである。

我々ITベンダ(当時)はITのプロフェッショナルとしてお客様のシステムについてIT観点でどうあるべきかという提案や改善はできる。しかし、お客様の業務のプロフェッショナルであると呼ぶにはそのスキルは十分ではない。業務観点でどうあるべきかをお客様に提案するには限界がある。お客様よりもお客様のことを知り、どうあるべきかを提案できるベンダであるということを売りにするベンダもいるだろう。ITはあくまでも道具である、道具の使い方はもちろんお客様の進むべき業務改革への道も私たちが照らし出してさし上げましょうと。

 

はっきり言って、おこがましい。

 

お客様の業務に対してITベンダが口出しできるようなスキルセットを持った人はよほど希少な人材だろう。ただ、本当にそれが出来て、その対価をもらうというビジネスは成立しない。なぜなら、それはお客様である情報システム部門の存在意義を否定することと同義だからである。仮に、それを是とするお客様がいたとしたら、それはいわゆる丸投げであり、ITベンダの思う壺。ベンダロックイン状態に陥ること請け合い。

私は、当時ITベンダという立場だったのでベンダロックインは大歓迎であった。むしろ直接的であれ間接的であれそうなるように働きかけていたといっても良いかもしれない。ベンダロックインというとネガティブなイメージがあるが、信頼できるパートナーとしてお客様とともに業務を改革する、と言い換えるとなんとも素晴らしい仕事である。もちろんこれはITベンダとしては当然の働きかけであり、決して悪いことではない。ただ、私個人はこのビジネスに違和感を感じていた。

会社のITはエンジニアに任せるな!

会社のITはエンジニアに任せるな!

 

もう一度言う。ユーザはもっと強くならなければ、本当に欲しいシステムはできあがらない。会社のITはエンジニアに任せるな!にも書かれている通りである。

「ITはしょせん道具にすぎないのだから、IT部門がさっさと用意してよ」という安易なスタンスで臨むと、業務に密着したITが作れず、結局のところ武器にならないのです。つまり、ITは誰かに丸投げするには大事すぎるのです。

ITベンダはこぞってこう言う。「ITはあくまでも道具なのです、お客様はお客様の未来を、そして夢を語ってもらえればそれでいいのです。事務の効率可をするためのITの時代は終わりました。攻めのITを」この言葉をユーザが額面通り受け取って丸投げしていたら、ユーザの情報システム部門がなくなる日もそう遠くはない。もちろん、それでなくなってしまう情報システム部門なのであればリセットする良いきっかけになるので、会社的には良い方向に向かうのかも知れない。しかし、今この瞬間から手を打たず、その時がおとずれるまで待ち続けることを選べば、その痛みの大きさ、痛みを伴う時間がより長くなるかもしれない。

私はなんとなく感じていたこの違和感から、ユーザの立場でITベンダと対等に会話をし、本当に良い仕組みを創り上げられたらと思い、ユーザ企業の情報システム部門への転職を考え始めた。

31歳SIerからユーザ企業の情報システム部門への転職(8)につづく

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