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じっぱひとからげ

十把一絡げになんでもかんでもつづる。

31歳SIerからユーザ企業の情報システム部門への転職(5)

#2016/12/04 追記
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jippahitokarage.hatenablog.com

#追記ここまで

 

初めて自分の力(だけというつもりはありません)で新しい領域の仕事に切り込み、開拓していくこの快感は何にも代えがたいものがあった。ともすれば、他の人であっても同じ、あるいは、より高いパフォーマンスを出せたのかもしれないが、なにより「自分の持ち味」が、お客様に受け入れられるということがうれしかった。

■人月ビジネスとは

「こういうことをやりたいので見積もりが欲しい」

お客様の御用聞きをやっていると、当然こういう場面に遭遇する。そうSIerの見積もりと言えばご存知の単価[円]x工数[人月]で提示するあのおなじみの見積もりだ。

この記事をここまで読んでいるというキワモノのみなさんにはもう説明の必要は無いと思うが、あえてここで単価と人月について取りあげたい。

単価[円]は担当する人間のスペックによる。以下の表現は私の言葉なので注意して欲しい。「言われたことしかできない単純作業者」、「問題提起はできるが解決はできない作業者」、「問題解決ができる作業者」、「問題解決ができるリーダー」、「問題解決および顧客対応ができるリーダー」おおよそこのように単価があがっていく。別の軸で「DBの性能問題の解決に特化したスペシャリスト」などの専門スキルを持つ人間も単価が非常に高い。DBの性能問題で炎上している案件ばかりを渡り歩くような稀有な存在は優秀な人が多く希少価値が高い。端的に言えば、自分の頭で考えることができる人、または、専門性の高いスキルを持つ人の単価が高い。

工数[人月]は、「実際の作業にかかると想定される1ヶ月分の作業量」を表している。ここでよく覚えておいてほしいのは工数とは「作業量」を指すということである。なまじ「月」という期間を表す言葉がついているので「時間」であると勘違いしてしまいそうになるが、人月の単位は「時間」ではなく「量」なのである。

簡単な例で説明しよう。例えば物理サーバを発注し、ラッキングして、火を入れ、OSのインストールをし、パラメータを設定する作業があったとする。物理サーバの納期は1ヶ月程度かかる場合もある。そう考えると、このようなスケジュールになるかもしれない。

12/05 物理サーバ発注(3h)
01/09 納品・ラッキング(5h)
01/10 検収(3h)
01/11 OSインストール/パラメータ設定/試験(5h)

期間としては1ヶ月強かかっているが、実際の作業にかかると想定される時間分の作業量を考えると16[人時]となる。物理サーバを発注するための各種調整が終われば、それからサーバが納品されるまでの約1ヶ月の期間作業がなくなるので、他の作業に充てられるという整理になる。このように積み上げていった作業パズルを人に当てはめていくことで人月ロジックは成り立っている。これらの作業をさばける要員を協力会社にお願いして調達する(本当にこの言葉を使う。人は調達するもの)。

SIerのみなさんは、まあ、そうだよね、と納得していただけるかもしれない。でも、そうでない人のうち勘の良い人は「いや、作業に時間かけすぎだろ。もっとはやくできるだろ」と思う人もいるかもしれない。そう、この工数は「どのスペックの人が作業をする前提か」によって変わってくる。「この作業は俺ならこれくらいでできるぜ」と見積もってはいけない。逆に「俺はよくわからないから、きっとたくさん時間がかかるだろう」というもいけない。このスペックの人ならこれくらいで終わるだろう、として作業を見込む必要がある。

ところで、16[人時]は何人月なのか、という議論でも1つポイントがある。人によっては1人月の定義を1日8時間 x 1ヶ月20日間で160[人時]とする人もいれば、残業時間も含めて180[人時]とする人もいる。このあたりは、協力会社との契約の話や、顧客や社内への見せ方やにもよるが、いずれにしても思想として「担当者のお休み」は見積もりに含まれていない。これは別に悪いことではない。我々は「工数」で見積もりをしているので、いくら休もうともその作業を完遂させればとがめられる理由はない。なぜなら我々は、時間で働いているわけではないからだ。ここでもう一度思い出して欲しい。工数とは「量」である。ゆえに、変な話1[人月]の仕事量を0.5ヶ月という期間でこなしても良いのである。仮に1日休んだことで1[人日]分の作業が遅延したとしても翌日以降でその「量」を取り戻せば良いのである。

さあ、そろそろ混乱してきたことだと思う。あらためて「量」と「期間」に注目しながら読んで欲しい。

1[人月]の仕事量を0.5[ヶ月]という期間でこなせるならそれは1[人月]という見積もりがそもそもおかしいのでは。もともと作業量としては0.5[人月]だったのでは、という見方もできる。一方で、上記で上げたスペックの人が真にみな一様なスペックであるというわけはないので、「誰が」担当するのかによって1[人月]の量は変動するという言い方もできる。

 

さて、1[人月]という作業量はいったいどの程度の作業量を表すのか。

 

結局のところ人月ビジネスは「どう考えて、どう説明したか」ということに収束する。お客様からのお金をいただくのに妥当なロジックを組み立てて説明する。このロジックを組み立てる力、お客様と調整する力が非常に重要なのである。

 

では、私がこの不思議な人月ビジネスがいやだったとおもっていたかというと必ずしもすべてがそうだというわけではない。この人月ビジネスの中にいると、この他にも不思議な部分が見え隠れするのである。

 

31歳SIerからユーザ企業の情報システム部門への転職(6)に続く

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