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じっぱひとからげ

十把一絡げになんでもかんでもつづる。

「あんた、ご飯…食べたかい」に込められたばあちゃんの想い

映画「サマーウォーズ」公式サイト


「サマーウォーズ」 劇場用予告 - YouTube

みんなばあちゃんが好きだということ。それに尽きる。
ばあちゃんの遺言を陣内家の全員で読み上げるシーンがある。

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家族へ

まあ、まずは落ち着きなさい。人間落ち着きが肝心だよ。葬式は身内だけでさっさと終わらせて、あとはいつも通り過ごすこと。財産は何も残していやしないけど、古くからの知り合いのみなさんがきっとちからになってくれるだろうから、心配はいらない。
 
これからもみんなしっかりと働いてください。それと、それともしワビスケが帰ってきたら、10年前に出て行ったきりいつ帰ってくるかわからないけど、もし帰ってくることがきっとおなかをすかせていることだろうから、うちの畑やぶどうや梨を思いっきり食べさせてあげてください。初めてあの子にあった日のことを良く覚えている。耳の形がじいちゃんそっくりで驚いたもんだ。朝顔畑の中を歩きながら、今日からうちの子になるんだよ。といったら、あの子はなにも言わなかったけれど手だけは話さなかった。あの子をうちの子にできる。私の嬉しい気持ちが伝わったんだろうよ。
 
家族同士手を離さぬように、人生に負けないように、もしつらいときや苦しいときがあっても、いつもと変わらず家族みんなそろってご飯を食べること。一番いけないのは、おなかがすいていることとひとりでいることだから。私は、あんたたちがいたおかげで大変幸せでした。ありがとう。じゃあね。
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ワビスケは陣内家の本家の養子だったが、アメリカに留学したきり10年間も行方知れずであった。陣内家の人間からすれば、陣内家の資産を買ってに持ち逃げした人間であるため、そのことでみんなで愚痴を言い合うシーンも描かれている。しかし、ばあちゃんだけは違った。この遺言にも現れているように、家族なのだからつらいときや苦しいときに助け合うのが当然のことであり、家族がおかした過ちは、家族みんなで埋め合わせなければならないと。人と人とが助け合い、生きて行くことがこの世の中で最も大切であることを教えてくれている。
 
ワビスケが資産を持ち逃げして10年間も行方知れずであったことは、とても許されたことではない。しかし、ばあちゃんが10年ぶりあったばあちゃんはワビスケに対して、これまでどうしていたかを聞くわけでもなく、とがめるでもなくこう聞いた。
 
ワビスケ!」
「よう、ババア。まだ生きていたか」
「あんたこそ、どこぞでのたれ死にしたかと思っていたよ」
「はは、その分じゃ100までくたばらねえな」
「あんた、ご飯…食べたかい」
 
ばあちゃんの人として人を思う気持ちが、お腹をすかせていないかという確認にすべて凝縮されている。こんなばあちゃんだからこそ、家族に限らず多くの人の心をつかんではなさなかったのではないかと思う。