じっぱひとからげ

十把一絡げになんでもかんでもつづる。

結婚式を半年前にキャンセルしたら申込金10万円をそっくり持っていかれた話

ちょうど1年前の出来事だ。自分の中ではとても嫌な思い出なので、あまり筆を執る気になれなかったが、なかなかレアな経験ではあると思うので共有しておこうと思う。

ここでクソ対応の結婚式場をキャンセルし、10万円という高額な授業料を支払ったことで、親族のみの海外挙式に踏み切ることができたので結果的には満足している。これから結婚式を挙げようという後進へのアドバイスになれば。

結婚式予約からキャンセルまでの流れ

  • 2015年10月中旬
    • 某式場の下見をして、約1年後の2016年10月の予約をとる。担当者A氏と契約をかわして費用のうち10万円を申込金として納める
  • 2016年03月下旬
    • 式の半年前 になり打ち合わせ案内の封書が届いたので、打ち合わせ日程について契約時の担当者にメールして打ち合わせの日程調整をしようとするも、2週間ほど音沙汰なし
  • 2016年04月上旬
    • 式場に電話すると「契約時の担当者は退職した、今の担当者はB氏である」と初めて伝えられた
      • この時点で対応の悪さに憤りを感じている
    • 当時、共働きで嫁はそれなりに多忙な現場のSEであったこと、私は仕事終わりに転職活動していた時期*1でもあり、平日に時間を割くことが難しく、土日に打ち合わせしたいと連絡
    • 土日は挙式で忙しいからNG、平日でお願いしていると連絡があり、しぶしぶ平日の20時から打合せをすることになった
  • 2016年04月中旬
    • なんとか時間を作ってきた平日20時からの打ち合わせの内容が電話で済むようなしょうもないQAしかなく、なんのためにわざわざ式場までこちらから出向いて打ち合わせに来たのかと怒りを通り越して呆れた
    • 契約時にすでに伝えていたことが引継ぎされておらず、完全に二度手間になっていた
    • こちらが対応の悪さに怒り心頭に発していることへのケアが何もされないまま打ち合わせが行われた
    • 打ち合わせの最中に嫁と二人で顔を見合わせ「やめよう」と判断。嫁が気に入っていた式場で、嫁が選んだということもあるので、自分が一人だけ腹を立てているなら我慢しようと思ったが、嫁のほうから「やめようか?」と言ってくれたのですぐに決意した。「ここで挙式を上げることをやめたいので、マネージャと話をさせてくれ」とお願いする
    • 「マネージャは不在なので後日電話をさせて欲しい」と回答があり、翌日電話することになった
  • 翌日
    • 「キャンセルするので10万円を返して欲しい」ともちろん契約上、このお金は返ってこないことわかっているが、我々の本音をぶつけるようにマネージャに話した
    • 不手際については謝罪する。気になることはすべて改善として取り込むのでどうしても我々の式場で式をあげて欲しい、と電話越しに泣きながら訴えてくる。それでもキャンセルしたいというのであれば「自己都合」である、10万円は返金できないとのこと
    • 10万円が返金できないことを了承し、解約に関する手続きを教えてもらい、解約をすすめる

なるほど「気になるところはすべて改善するのでうちで式をあげてくれ、それでも嫌なら自己都合」とてもよくできたロジックだこと。ある意味、感心である。

我々がゆずれなかったこと

10万円が返ってこないとしてもこの式場で式を挙げたくない。この式場にこれ以上お金を払いたくない。そう思わせたのは、我々が全幅の信頼をおいていた契約時の担当者A氏退職の事実を我々に伝えられず、ないがしろにされたこと大きかった。

かゆいところに手が届く式場スタッフA氏

我々がこの式場にしようとすぐに判断したのは、下見から契約までをケアしてくれたA氏のおかげだった。

式場を選ぶためにいくつか下見をした。結婚式ビジネスの業界では、ブライダルフェアなるものが週末に企画されている。結婚式というものがどのようなものかをイメージさせる体験会から契約につなげるというものだ。中には、披露宴で参加者に出す食事を試食できるというものもある。この下見の内容はある程度パッケージ化されていて、2時間や3時間を予定されているものが多い。

前述の通り、我々は仕事や転職活動に時間をとられてゆっくり過ごす時間もあまりなかったこともあり、2時間や3時間を式場選びに取られたくなかった。そこで、事前に式場側には「○時に予定があるので、△時には出たい」と事前に伝えて、彼らのパッケージを全部見るのではなく、こちらが気になったものだけ選択して見れるように調整をお願いした。

嫁が調べた中で一番のお気に入りの式場に最初に下見にいった。式場を紹介してくれたのはA氏だった。A氏は本当に我々の気持ちをよく汲み取ってくれた。下見にあまり時間をかけたくないということもよく把握した上で、我々のために下見のための時間をカスタマイズしてくれた。

これは後でわかったことだが(想像すれば分かる話でもあるが)、式場ビジネスは前述の通り土日がサービス提供日でありもっとも忙しい。そんな中、式場を下見するとなると本番稼働しているサービス提供時間の合間をぬうことになるので、時間的な制約が大きい。おそらく、それゆえに下見パッケージは2時間や3時間の余裕を見ているのだと思う。

A氏は、下見の会場に向かう合間で彼自身の話をしてくれた。今の結婚式場のスタッフとして働きはじめる以前、他の会社に務めていたこと、なぜ転職するにいたったのかなど具に話してくれた。人にもよるかも知れないが、私はこの点で彼はとても好印象であった。我々はこれから数百万円の買い物をするかもしれないので、この式場が、この人が、サービスが、信用に足るかどうかを判断したいのである。海の物とも山の物ともつかない状態から始まるのではなく、まず担当者である彼が彼自身について話してくれたのでとても気に入った。

彼の説明は本当にかゆいところに手が届いた。嫁が教会のステンドグラスについて気に入っている様子を見つけると、それについての説明をしっかりしてくれた。他の教会と比較してもここの教会のステンドグラスは美しく人気が高いという情報も教えてくれた。彼が面白いのは、彼は会社という立場を度外視して「ステンドグラスがきれいな独立教会というくくりでいえば、このあたりだとXやY、Zなんかも人気があるので見に行ったほうが良いと思います」と他社の結婚式場まで紹介してくれたのだ。それも、他社のことまでよく調べている様子だった。もちろん、他社と比較しても優位であるという自信があるからこそではあるかもしれないが、「この人は本当に我々のことを考えてくれているんだ」「信じても良さそうだな」そう思わせるには十分だった。

「式場の下見は何件以上したほうが良いっていう記事見ました」という話を嫁がA氏にしても、「いやいや、いいんですいいんです、そんなにたくさん見にいっても疲れちゃいますよね?何件ということではなく、気になるところだけおさえればいいと思いますよ」と返す。我々があまり下見に時間を割きたくないということは、言動や態度からわかったのだと思う。我々の思いの合わせた説明や回答をしてくれていた。回答の早さや柔軟性、彼の思いも含めて話している様子から、会社としてのマニュアルに沿った説明ではなく、彼自身から発せられている言葉なのだなということは手に取るようにわかった。

「A氏がいるなら」と二人とも彼が気に入っていた。ただ、式場の契約上、実際に式の準備を進行するスタッフは必ずしもA氏というわけではなく、時期が来たら改めてスタッフが紹介されるということだった。でも、何かあればA氏に相談できると思えば違うスタッフでもかまわない。嫁のお気に入りの式場を二人のお気に入りのスタッフA氏のもとで契約し、10万円の申込金を支払った。

式場から連絡されなかったA氏の退職

契約から半年や1年後のことなど誰にもわからない。だから契約したときに二人が気に入っていたスタッフA氏が退職することなど誰も想像できなかっただろうし、そんなことは誰も止めることはできない。仕方のないことである。事実、契約書にも契約時のスタッフがそのまま式を取りまとめるということは約束されていなかった。ただ、我々が憤りを感じているのは、A氏が退職したという事実が我々に伝えられなかったこと、そして、A氏からの引継ぎがしっかりされていなかったことである。

我々は、現時点で人生で最も大きな買い物を契約をしたのである。その契約を交わした担当者が退職したのであれば、退職の事実があった時点でそれを契約者に伝えるという会社としての対応があって然るべきではないだろうか。何のフォローもないどころか、こちらから「メールで連絡がつかないがどうなったのか」と電話で問い合わせて初めて退職の事実を知ることになった。完全になめられている、本当に腹が立った。

担当者がB氏に変わっての初めての打ち合わせで、この件について説明があるかと思えば、第一声はこれだ。

「どうですか?実感は湧いてきましたか?」

思わず嫁と顔を見合わせてしまった。もちろん、新しい担当者B氏は何も悪くない。会社が悪いのだ。すでにA氏に伝えたことを、またB氏から尋ねられると辟易した。引継ぎがしっかりなされていないあたりを見ると、B氏もまた我々と同様に被害者であり、会社の対応の悪さに巻き込まれただけなのだろう、我々も腹を立てていたが、B氏もかわいそうだった。

「神父さんは日本人がいいですか?外国人がいいですか?」
「ブーケトスのときの掛け声は『未来の花嫁のみなさま』にしますか『幸せを望むみなさま』にしますか?」

最初の打ち合わせでこの粒度で始まるのか。大丈夫か。打ち合わせはできるだけ時間をかけたくなかった。忙しい中時間を割いて行ったのにメールや電話で済むようなQAしかなかった。B氏を目の前にしていることもあり二人の間に会話はなかったが、質問のたびに顔を見合わせて苦笑いしてしまった。両家の親や兄弟の予定をおさえて決めた2016年10月の日取りをキャンセルするという決断は早かった。もうこれ以上、この式場に時間もお金も取られたくなかった。

式場マネージャとの電話でキャンセルを伝えた

以下を不服としてキャンセルする旨、申込金10万円の返金を訴えた。

  • A氏の退職について連絡がなかった
  • A氏からB氏への引継ぎがなされず、二度手間になっている。ただし、B氏に非はない、むしろ逆境の中、頑張ってくれていたと思う。これは会社としての引継ぎ対応が不十分であるという問題である。
  • 貴社への不信感が高まっている
  • 打ち合わせ用Webサイトのセキュリティが脆弱である(後述)


マネージャの回答はこうだった。

  • 約款通りの扱いとなるため10万円の返金はできない
  • 引継ぎが不十分だった点は100%弊社に非がある大変申し訳無い
  • 後任Bへの気遣いまで身に余る思いである
  • 二人の幸せのお手伝いをさせて欲しい。改善に務めるので式をこのまま挙げて欲しい
  • それでもキャンセルするということであれば自己都合ということで約款通りの整理となる

マネージャは電話越しに泣いていた。

もちろん、私だってタダで結婚式を予約できないというのはビジネス上の理屈からもわかっている。予約を入れたのにキャンセルされたとなれば、その期間の機会損失は補填してもらわねば、という気持ちも十分わかっている。だから10万円は、そもそも返ってくるとは期待していなかった。でも言うべきことは言っておきたい。

「謝罪の気持ちはしっかり伝わってきましたし、マネージャさんの気持ちもよくわかりました。ただ、感情に任せてこの話ばかりしていても次に進めないので、それはそれとして理解しましたので、次の話をさせてください」

そう整理した上で、話をすすめる。

「結婚式ビジネスのプロであるあなたへの質問です。争点が明らかになれば弁護士に相談してみようと思うのですが、このような背景でキャンセルをした場合に返金されたというケースはどのようなものがあるのでしょうか?」

「こちらの不手際があり、それがどのような手段をもっても改善できないという場合に返金にいたるケースがございます。例えば、予約していた日取りがタイミング悪くほかとぶつかってしまい、お約束できないなどです。今回のケースで言えば、我々が至らなかった部分はすべて改善に努めてまいりますので、このまま式を我々の式場で執り行わせていただければ」

「改善とおっしゃっていますが、私はあなた達を信用していません。修復は不可能だと思ってキャンセルをさせていただこうとしています。弁護士に相談してみても良いですか?」

「はい、ただ…」

「ただ…何でしょう?」

「正式に返金の有無についてお話するということであれば、約款にしたがってキャンセル料を申し受けさせていただくという形で我々の方も話をすすめさせていただくことになります」

「どういう意味ですか?」

「はい、約款では式の半年前を切ってからのキャンセルはキャンセル料として「申込金の全額+会場使用料の20%および販売価格をちょうだいすることになっております(以下、第7乗の3)。」

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(出典:某社 結婚式・披露宴会場ご利用に関する共通約款 第7条キャンセル料より)

「つまり、10万円が返ってこないだけでなく、御社は我々に更にキャンセル料を追徴すると言ってます?」

「はい、大変申し訳ありませんが、約款の内容に準拠した形で申し受けさせていただきます。お客様の幸せな結婚式に向けて私共は最善を尽くさせていただきたく思います。しかし、今この時点でもうお客様のお気持ちとして、キャンセルなさるということがお決まりのようでしたら『半年よりも前にキャンセルの意志を表示なさっていたという整理(第7条の2)』でお申込み金以外の追加キャンセル料はいただかないということもできます。それが私共にできる限りの調整です」

もう呆れてモノも言えない。そうなんだ。結婚式ビジネスというものはそういうものなんだ。なにかもうこの時点で完全に吹っ切れた。「本当は追徴キャンセル料がかかるところだが、10万円で手を打たないか?」ということらしい。

いや、わかる。そりゃ数百万の契約が飛んで、入るはずの数百万が入ってこないなんていうことになれば、申込金の10万円をもらったって焼け石に水。会社としての損失は多大なものだろう。気持ちはわかるけれど、結婚式ビジネスの裏側が見えた。そんな気がした。

言い方次第、やり方次第で本気を出せば10万円は取り返せただろう。ただ、もうこの人達には関わりたくないという気持ちのほうが先行してしまい、10万円で手を打った。一般的にはこれを泣き寝入りと呼ぶのだろう。ただ、自分としては学びの多い10万円だったとも思う。1年たった今、冷静になって書き起こしてみると、この10万円の件で裁判を起こしてみた方がもっと学びが多かったかもしれないとも思ったが、当時はあまり時間がとれなかったし、結婚式は自分だけのことでもないのでなかなかそこまで踏み切ることはできなかっただろう。後進のみなさんが同じ事態にぶち当たったら、ぜひチャレンジしてみて欲しい。

おまけ:セキュリティがスーパー脆弱な個人情報を扱う専用サイト

(私の名前) 様、(嫁の名前) 様


(式場の名前)では、結婚準備をサポートするお二人専用のサイトをご用意致しました。
ご準備に必要なドレスなどのアイテムのご紹介、ご招待されたい方々のリストアップ、当日の進行内容の作成など、 結婚準備に必要なものすべてを取り揃えております。
また、新生活に必要な様々なアイテムもあわせてご紹介しております。
インターネットにつながっていれば、24時間、いつでも、どこでもアクセス可能です。

下記のURLへアクセスし、ログイン画面より、記載されているIDパスワードを入力してご利用下さい。

https://(専用サイトのURL)

ID: 10w20150704
PASS WORD: 10w20150704

まさか。まさかとは思うが…このIDと初期パスワード(PASSとWORDの半角スペースは原文ママ)の文字列の生成ルールは、もしかして…。

もちろんパスワードアタックなどして人の個人情報が覗けてしまえば、不正アクセス禁止法違反になってしまうので、もちろんやってはいけない。絶対にやってはいけない。でも、もし、もし仮に、仮にの話。こんなに桁数の少ない、かつ数字に限られ、桁数も限定され、IDとパスワードが完全に一致していて、誰でも想像できそうな簡単な規則によって生成されているとしたら…。

初期ログイン時にパスワード変更も強制されないし、本文中にも必ず初期パスワードは変えなさいと促すメッセージもない。数字2桁 半角英字1桁 YYYYMMDDの数字8桁だと、おそらくものの数時間もあれば、初期パスワードを変更しない程度のITリテラシの最近の顧客情報はぶっこ抜かれるだろう。過去のIDを無効化していない作りなのであれば過去分も含めて全部ぶっこ抜かれるのは時間の問題。

このサイトに含まれる情報はかなり濃厚で、手に入れば人によっては用途はいろいろあるかもしれない。

  • 新郎新婦氏名
  • 年齢
  • 住所
  • 身長・体重(衣装決定のためのインプット)
  • 出席者の氏名・関係(席次決定のためのインプット)

こんな安易なユーザ名とパスワードで個人情報をインターネット上に
さらすとはどういうつもりなんでしょうか。許可した覚えがありません。

簡単に攻撃されて個人情報が漏洩して事故になります。
一刻も早く我々のIDの停止をお願いします。

当然、この脆弱なセキュリティの専用サイトについてはこの会社にフィードバックした。これをダシに10万円を取り返してもいいのではとさえ思った。流石に指摘してからもう1年も立っているので、もう対策済みだとは思うが…。結婚式ビジネスとは、こういうことを平気でやってしまうような人々によって運営されているのだ。心してかかるがよい。

もし、サイトが特定できても絶対に攻撃するなよ!絶対にだぞ!

京都に来てから半年 蒙古タンメン中本の蒙古丼欲が高まったので再現してみようと思う

jippahitokarage.hatenablog.com

池袋に住んでいた頃は、蒙古タンメン中本 西池袋店で、ほぼ毎週のように蒙古丼持ち帰り・ご飯なしを買って帰っていた。しかし、京都に来て蒙古タンメンから遠ざかってはや半年、徐々に禁断症状にかられてきたので、なんとか自力で再現してみることにした。

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我ながらうまくできたと思う。持ち帰り蒙古丼の写真と見比べてみよう。蒙古タンメンの麻婆豆腐は正直あまり好きではないので、そもそも作るつもりはなかったのでよし、ゆで卵もべつになくても良い。店舗で食べる蒙古丼は長ねぎが上にのっているが、これも別にいらない。紅しょうがはむしろじゃまなのでいらない。

あれ、もやし入ってたっけ。完全に忘れていた。

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蒙古丼の再現

あれだけ足しげく通っていたのに、あんなに喜んで毎週のように食べていたのに、いざ作ってみようと思うと材料すら思い出せないという人間の記憶など適当なものだ。

材料 2人前

・豚バラ 50g
・キャベツ1/4
・にんにく 1片
・にんじん 1/2
・きくらげ 3〜4枚
・もやし 1袋 (今回は存在を忘れていた)

・調味料
 - 豆板醤 小さじ1
 - 甜麺醤 小さじ1
 - 創味シャンタン 小さじ1
 - 白みそ 小さじ1
 - 塩 少々

蒙古丼の作り方(麻婆豆腐、ねぎ、ゆで卵、紅しょうがなし)

1.豚バラ、キャベツ、水で戻したきくらげを一口サイズに切る
2.にんじんを短冊切りにする
3.にんにくをスライスする
3.豚バラとにんにくを入れて炒める。豚バラから出る油ににんにくの香りをまとわせる
4.にんじん、きゃべつ、もやし、きくらげを入れて炒める。
5.調味料と水100ccを入れ、ふたをして10分ほど煮込む
6.水分が少なくなってきたら 塩で味を整える
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7.ご飯のうえにかけて盛り付けてできあがり
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振り返り

ごま油の香りをつけるともっと美味しいかもしれないが、久しく食べていない蒙古丼がごま油の香りがしたかどうかも思い出せない。今月末に東京に出張に行くので、久しぶりに蒙古丼を堪能しようと思う。

食器洗い機を導入するまで知らなかった3つのこと

大学時代、電子センサ工学を担当していた教授が15週の講義の1週目の導入部分で、食器洗い機の話をしていた。講義の導入という意味では、今どきの家電はセンサによる制御をするようになっているという話で、食器洗い機について言えば、汚れの度合や食器の位置をセンサで判定して効率よく洗うことができるのだという話だが、アイスブレイクもかねてこのような話をしていた。

食器洗いは家事の中でも負荷が大きい。食器洗い機を導入することで自分も妻もその煩わしさから開放され、夫婦は円満になるのだという。特に役割分担をしているわけではないが、食器洗いはもっぱら私の仕事というような状態だったので、食器洗い機を導入して本当に良かったと感じている。先生の教えは本当だった。

食器洗い機導入前は知らなかったこと

食器洗い機など一度も触ったことはなかったし、導入しようとも考えたことがなかったので、食器洗い機に関する情報がゼロから始まった。食器洗い機を導入しようと検討を始めるまで知らなかったことがいくつかあったので共有したい。

(1)食器洗い機はそもそも選択肢が少ない

よーし、食器洗い機を導入するぞ!どれにしようかな。とラインナップを見始めたときにすぐに気づくことになる。そもそも作っているメーカーも少ないため、選択肢が少ないのである。

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(出典:価格.comにおける売れ筋のメーカー 2017年3月のトレンド
【価格.com】食器洗い機 | 通販・価格比較・製品情報

ここに価格.comの2017年3月のトレンドを示すグラフがある。ここに登場しているメーカーを見て欲しい。売れ筋TOP 3は日本のメーカーでPanasonic、Rinnai、三菱電機の順になっているが、Panasonicの独壇場であることがうかがえる。さらに、続くミーレ(Miele)、ガゲナウ(GAGGENAU)はドイツ、エレクトロラックス(Electrolux)、ASKO(アスコ)はスウェーデンの家電メーカーである。価格.comに登場するのはこの7社に限られる。

さて、この7つのメーカーのうち価格.comでPanasonicが独走しているのはなぜか。こたえは簡単で、この中で唯一「据え置き型(卓上型)」の食器洗い機を製造しているということである。

食器洗い機には大きく分けて「据え置き型(卓上型)」と「ビルトイン型」の2種類が存在し、食器洗い機といえば「ビルトイン型」が主流なのである。「据え置き型(卓上型)」と「ビルトイン型」はその名の通り、以下のような特徴がある。

  • 据え置き型(卓上型)
    • 他の家電同様、設置場所を自分で決めて配置するタイプ。場所を決めて設置したあと、電源をコンセントに挿して、給水用のホースを蛇口に取り付ける。給水用のホースを接続する口がない場合は別途、分岐水栓を取り付ける必要がある。
  • ビルトイン型
    • キッチンの設計・施工の段階で備え付けられているタイプ。システムキッチンの中にコンポーネントとして組み込まれる。

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(出典:日本における「食器洗い乾燥機文化」のパイオニアとして市場をリード
食器洗い乾燥機生産開始50周年 2010/03/11
食器洗い乾燥機生産開始50周年 | プレスリリース | Panasonic Newsroom Japan

こちらのグラフは、独走しているPanasonicの食器洗い機生産開始50周年の2010年のプレスリリースに掲載されていた食器洗い機の需要と普及を示している。2004年を境に「ビルトイン型」が「据え置き型(卓上型)」を上回っていることがわかる。

それもそのはず。実際に食器洗い機を導入してみて気がつくが、食器洗い機はかなりキッチンの中の場所をとる。このように場所をたっぷりとる食器洗い機は、キッチンの設計時に取り込んでおいたほうが、より自然にキッチンの中に導入できるに決まっている。

システムキッチンの中に「ビルトイン型」の食器洗い機はついていない賃貸だけれど、どうしても食器洗い機を使いたい、という人のための「据え置き型(卓上型)」なのであって、メインストリームからは外れている。

パナソニックによると、2012年度の食器洗い乾燥機総需要は約73万台で前年度実績比5.8%増。タイプ別の構成比を見ると、ビルトイン型が約72.6%と大半を占めるのに対して卓上型は27.4%にとどまる。システムキッチンの普及拡大に伴って食器洗い乾燥機を組み込むケースが増えているためとみられる。そうした背景からか、このところ卓上型食器洗い乾燥機から撤退するメーカーが相次いでいる。5~6人分の食器を洗えるファミリー層向けの本格的な卓上型を開発販売している主要メーカーは、いまやパナソニックくらいしか見当たらない。

 この分野から撤退したあるメーカーに聞くと、「水栓取り付けに手間がかかるなどサポート体制にコストがかかるし、価格競争で利益が出にくくなった」という。
(出典:競合なき卓上型食器洗い乾燥機 自動で節電、節水も
パナソニック「NP-TR6」 日本経済新聞 2013/05/06 7:00
競合なき卓上型食器洗い乾燥機 自動で節電、節水も :日本経済新聞

据え置き型は前述の通り、蛇口に分岐水栓を取り付けるための工事が必要になるため、蛇口メーカーやハウスメーカー、施工業者とタッグを組んでサービスを提供する体制を整えなければならないため、他のメーカーは割に合わないと相次いで撤退していったという。

事実、価格.comの絞り込み検索で、「据え置き型(卓上型)」にチェックを入れると、

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Panasonicしか存在しない。

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つまり、据え置き型(卓上型)の食器洗い機が欲しくなったら、Panasonic一択で選択肢がないのである。

我が家も例外なく、Panasonicの据え置き型(卓上型)の食器洗い機を導入した。

jippahitokarage.hatenablog.com

(2)食器洗い機専用の洗剤がある

「専用」と勝手に名前をつけて無知な人間から金を巻き上げようとしてるな!このやろう!と直感的に感じたが、Panasonicの食器洗い機の注意書きが興味深い。

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(出典:NP-TR9 取扱説明書 安全上のご注意)

「台所用洗剤を使うと大量の泡が発生します」これがなぜだめなのかあまりピンとこなかった。泡は出れば出るほど嬉しいのではないか、とそう思った。食器洗いが手動から自動に切り替わるだけで、同じ食器洗いには変わりないだろうと。説明によれば、泡を消すため、運転時間が長くなり、水の使用量も増える原因になります、とある。つまり、裏を返せば「専用洗剤は泡が少ない」と言い換えることもできる。

どうやら、食器洗い機と手洗いでは同じ食器洗いでも「手でスポンジでゴシゴシ」する場合と「高温の水をつかって水圧で汚れを弾き飛ばす」という手法がそもそも違うので、もはや同じ食器洗いとは言えないということらしい。メーカーのQAは以下のようになっている。

LIONの回答
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手洗い用の台所用洗剤と食器洗い乾燥機用洗剤はどう違いますか。

P&Gの回答
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https://www.myrepi.com/tag/myrepi-joy-tips-dishwasher-detergent

食器洗い機専用洗剤と手洗い用洗剤の違いでおもしろいのは、食器洗い機で食器を洗う場合、洗剤が肌にふれることがないので、肌のことを一切無視して、洗浄能力だけのことを考えれば良いことになるという点である。

よくテレビCMで聞いた文言である「手肌に優しい」を完全に無視して「お皿をきれいに洗えさえすれば、手肌に厳しくても構わない」という点である。手肌に厳しく、素手で触れないレベルの高温で洗浄するのが食器洗い機による食器洗いなのである。当然、手洗いよりもきれいに仕上がることは言うまでもない。

(3)時短というより「ちょっとした時間」が使えることがうれしい

食器洗い機は時短になるので良い、ということがうたわれることはよくある。しかし、食器洗い機による時短というのは、この表現だけでは足りない。単純に20分かかっていたところが5分で済むようになったから15分短縮できたということがうれしい、これだけでは表現として不足している。

食器洗い機を導入する以前は「食器を洗い始めてから洗い終わるまでに20分かかるので、20分というまとまった時間を割く必要がある」という考えがあるため、朝の出勤前に皿を洗うことはなく、朝食のお皿はすすぐだけにして、晩御飯で使った食器と合わせて一気に洗うというのが日常だった。食器洗い機を導入してからは「セットするまで5分で終わる」という考えがはたらくため、朝食後の出勤前の5分でセットしておくと、帰ってくる頃には洗いあがって乾いた食器を片付けられる。晩御飯のあとは5分で使った食器と、お昼のお弁当箱をセットすれば、翌朝には洗いあがって乾いた食器を片付けられ、お弁当箱は翌日もすぐに使えるという具合に「ちょっとした時間」に食器洗い機にセットできる。その結果、「よし、やるぞ」と20分を確保する食器洗いという家事から、思い立ったときにすぐできて、すぐに完結する簡単な家事へと変化するのである。

それどころか、我が家では買ってきたパックのお刺身の盛り合わせをお皿に移し替えて、料理の見た目を楽しむ余裕すら生まれた。料理が映える食器を探したり、お気に入りの箸を探すなど、料理を見た目から楽しむ心の余裕は、食器洗い機を導入したことによって得られたものである。食器をたくさんつかっても、すぐに食器洗い機にセットして洗ってしまうので、シンクに食器がたまっているということはほとんどなくなった。

食器洗い機は家庭に平和をもたらす。私の中で、2016年に買ったルンバ*1についで、買ってよかったものランキング上位に食い込むことは間違いない。

美容室での「すべらない話の強要」を避けるために自宅で髪を切ることにした

※理美容業界のみなさまを不快にする表現が含まれている可能性があります。が、これが一部の利用者の忌憚のない思いです

東京から京都に引っ越しをしたので、髪を切るにも初めて行く美容室にいかなければならない。こちらにきてから嫁が初めて行った美容室の接客がいまひとつだったという話をしていた中で、二人の思いが一致したこと、それは「切ってもらっている間の会話が面倒である」ということだった。

美容室で聞かれる いやな質問 Top 3

  • 「週末どこか行きました? (行くんですか?)」
  • 「夏休み/冬休み/ゴールデンウィーク はどこか行きました?(行くんですか?)」
  • 「この後どこか行くんですか?」

突然ふられるすべらない話。理容師・美容師のみなさんは初めての客に良かれと思って質問を投げかけてくれているのは理解しているが「いやいや、初めてきたこの店で、あなたとそこまでプライベートなことを話すほど親しい関係になっていないですよ」という気持ちを押し殺して、脳をフル回転させてすべらない話を作り上げる。

きっとこれを見ている理容師・美容師のみなさんは「そんな気をつかわなくてもいいんですよ。何もなければ『何もない』それでいいんです」とそう言うだろう。「話したくなければ『話したくない』そういってもらえればいいですよ」そう言うだろう。しかし、話しかけられた以上は、より良いコミュニケーションをしようと努力してしまうのが人の性というもの。「話したくない」など面と向かって言えるわけもないのである。そうなると、リラックスしながら髪を切ってもらうというよりも、面白くない話をしてへんな空気にしてしまわないようにとなんとかして気をつかうものなのである。

よくホットペッパービューティーのクーポンを使って美容室に行く嫁曰く「予約時に選択できる『なるべく静かに過ごしたい』が接客に反映されたことはない」という。

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ホットペッパービューティー 予約画面より)

話しかけられないための究極の形「瞑想」

話しかけられないために、質問に対してあえてそっけない回答をするという方法もある。話をあえてはずませない、という行為である。

「週末どこかいったんですか?」
「はい、行きました」
「……えっと、どこに行ったんですか?」
「映画を見に行きました」
「映画、いいですね!何見たんですか?」
「『君の名は。』見てきました」
「あー、人気ですよね!どうでした?」
「面白かったですよ」
「そうなんですね!」

これを私は必要最小限回答戦略と呼んでいる、聞かれたことにしか答えないという必要最小限の回答で、会話を望んでいないことを暗に示す方法である。

一見会話が成立しているように見えるが、普通、円滑なコミュニケーションを心がけている人であれば、「週末どこいったんですか?」という一言から、「今テレビとかネットでも話題になってる『君の名は。』って知ってます?あれ見てきたんですけど、人気があるだけあってやっぱり面白かったですよ」まで展開して話をするだろう。そこをあえて聞かれたこと以外は何も語らないというスタンスを貫くことで、二度手間、三度手間にさせて会話したくないことを強調するのである。

しかし、この方法は通常かなりの自分自身にも精神的負担を伴う。サービスを提供する側は、顧客と親密な関係を構築しようと一生懸命話しかけているのにも関わらず、こちらから一方的な拒絶を示すサービスを提供する側にストレスを与えることになる。相手にストレスを与えることをわかっていながら行うこの行為は、受ける側だけでなく自分自身にもストレスを生じる諸刃の剣なのである。

無論、サービスを提供する側も、自分に話しかけたくて話しかけているわけではなかろう。サービスの一環として会話をしているのであって、「てめえの週末のことなんぞ微塵も興味ないわ」と思いながらも、とっかかりがないと顧客と、なんとか関係を構築するためにやむなく話しかけているという背景もあるだろう。

もし、話したくない顧客と話したくない美容師が他愛もない会話で消耗しているのだとしたらこれほど悲しい現実はない。そこで私が行き着いた究極の形、それは「瞑想(meditation)」である。

目を閉じて深い瞑想に入っている私に話しかけてきた美容師は誰一人としていない。最初に、どのような髪型を希望するのかを伝えた後は瞑想にふけるのである。初めて訪れる美容室で、最初にこの瞑想スタイルを確立すれば、2回目以降は「瞑想の人」として気兼ねなく瞑想にふけることができる。

初めは目を閉じることに抵抗がある人もいるかもしれないが、勇気を持って一度試してみて欲しい。あなたは、深い瞑想によってもたらされる心の穏やかさ、突然おとずれる「すべらない話の強要」から開放され安らかな心で髪を切ってもらい、髪を洗ってもらう心地よさを体験することだろう。

美容室に行くことさえ億劫になり自宅で切ることに

しまいには美容室まで足を運び、話しかけられないために瞑想するこの時間すら億劫になり、嫁にお願いして自宅で髪を切ってもらうことにした。

当然、美容師・理容師として活躍するプロのみなさんと違い、こちらは完全にアマチュアである。うまくいくかどうかはまったく未知数だが、失敗したら美容室にいってプロに助けてもらおうくらいなつもりでカットに挑戦した。

カットは殊の外うまく行った。本当なら専門学校で修行を積むくらいの覚悟をしなければ学べないことが、最近では、簡単にYoutubeで学ぶことができる。便利な世の中になったものだ。

もちろん、プロにはプロなりの、アマチュアではなし得ない技術をもっているのかもしれないが、私が求める髪型は、「自分自身が不快でない」「見る人を不快にさせないさわやかさ」を求める程度であれば、専門学校で2年も学ばなければならないほど高度な技術は必要としないのである。

行くのが面倒だな、という程度で初めたこの自宅ヘアカットは、「美容室での面倒な会話」を避けられるだけでなく良いことがたくさんある。

  • カット代が浮く
  • 映画を見ながらカットしてもらえる
  • 予約が必要ない/待ち時間がない
  • 移動の必要がない
  • カットに対しての注文がつけやすい
  • ヘアカットがひとつの行事になる

一度のカットで4,000円〜5,000円払っていたが、自宅でカットすることにすればこのヘアカット代が浮くことになる。映画を見ている間にカットが終わるというのが本当にありがたい。

あまりにコストパフォーマンスが良いので、道具にもっとお金をかけようという判断で、プロが利用するというようなものではないが、家庭でのヘアカットを本格的にやる人向けのコンセプトでつくられた富士山シザーを買った。

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プロモーションがとても上手。「プロ以外の方はご使用の前に必ずお読みください!」のメッセージに心躍る。自宅でのヘアカットだけれど、プロ気取りでやってみたい人には心地よい響きである。

実際に使ってカットした嫁曰く、スキバサミ*1のスキ率20%がとても扱いやすく、思い通りのカットができるのだという。少し良いハサミを手に入れても2回カットすれば元をとれてしまう。次は、私が嫁の髪をカットするのにも挑戦しようと思う。

富士山 シザー カットシザー & セニングシザー 2丁セット 美容 家庭用 ハサミ セニング スキバサミ 散髪 はさみ

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*1:セニングシザー(Thinning scissor)と呼ぶらしい

人生を3つのステージで考える時代は終わった LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略

京都市内のラーメン屋*1でラーメンを食べた後、カフェでコーヒーを飲みながら、「そういえば、こんな本読んだよ」と友人が本を紹介してくれた。その場でKindleで買って、その週のうちに読み切った。最近もう一度読み返してみたので、自分なりにまとめてみようと思う。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT - 100年時代の人生戦略 サマリ

本書をまとめるとざっくりこんなところだ。

  • 20世紀には「教育のステージ」、「仕事のステージ」、「引退のステージ」の3つにわける考え方が定着していた
  • 人は長生きするようになったので、「引退のステージ」が長くなると、長い引退生活を送るための十分な資金確保が必要になるので、古い3ステージのモデルはあてにならない
  • 働く年数を長くするか、少ない老後資金で妥協するという選択に迫られる
  • 悲観するのではなく、3ステージの人生の縛りから自由になり、仕事を長期間中断したり、転身を重ねたりしながら生涯を通じて様々なキャリアを経験するマルチステージの人生を実践すべし

本書では、時代背景の3人が登場して具体的な例を挙げて説明している。

  • ジャック 1945年生まれ (人生3ステージが機能した時代)
  • ジミー 1971年生まれ (マルチステージ時代)
  • ジェーン 1998年生まれ (まったく新しい時代)

読者はそれぞれこのいずれかに自分を投影して読むことになる。第5章 新しいシナリオ でより具体的にどんな人生を歩んでいくのかを示してくれているが、これらは順風満帆過ぎて、はいはい、それは良かったね。という気持ちにしかならないので、第4章までのマルチステージ時代の考え方に絞っておく。

キーワードは「無形の資産」

長生きするようになれば、働く期間が長くなり、貯蓄の重要性も高まる一方、長い人生の間に産業や雇用のあり方も大きく変わっていく。ゆえに100年ライフで注目すべきは、目に見える「有形の資産」だけでなく「無形の資産」であり、変化にどのように対応していくのかというところを意識しなければならない。

本書ではマルチステージ時代を生きる上で重要になる「無形の資産」について3つに分け、何が必要なのか、なぜ必要なのかを説明している。

生産性資産

  • スキルと知識
    • 新しいアイディアと創造性をはぐくむのを助けるスキル
      • 19世紀は産業革命の時代で「モノ」の時代であり、20世紀は「教育と人」の時代だった。21世紀は他人が複製したり購入したりできるような「アイディアとイノベーション」の時代になる
    • 人間ならではのスキルと共感能力を発揮できるスキル
      • 人工知能が担う部分は人工知能に任せ、高度な判断を行ったり、人とうまくコミュニケーションをとるスキルが重要になる
    • 思考の柔軟性と敏捷性など、あらゆる分野で通用する汎用的スキル
      • 専門的なスキルを高めることは必要不可欠だが、一つの専門スキルで長い勤労人生の中で生産性が維持できない時代になる
  • 仲間
    • 相互の信頼で結ばれた小規模な仕事仲間のネットワーク
      • このようなネットワークのメンバは互いに似たスキルと専門知識を持ち、職業上の成長を支え合うことができる。互いに信頼し合い、互いのコーチや支援者になり、人脈を紹介し合い、貴重な助言を送り合う。本書では「ポッセ」と呼ばれている。
  • 評判
    • 個人としてのブランド
      • どんなに価値のあるスキルや知識をもっていても、好ましい評判がなければそれを生産的に活用できない
      • みずからのこれまでの行動の産物であり、みずからの生産性に大きな影響を及ぼすものでありながら、自分で完全にコントロールすることはできない

活力資産

  • 健康
    • 長寿化時代においては、健康の価値がいっそう大きくなる
      • 50歳のときに病気で働けなくなることのダメージは、寿命70歳の時代より、寿命100歳の時代のほうがはるかに大きい
      • 無形資産への投資の一貫として、適切な食生活を維持し、運動を習慣づけるべきである
    • 長寿とは不健康な期間が長くなるわけではない
      • 近年の研究では、齢を重ねるごとに単調に不健康になるわけではなく、健康に長く生きるようになるという予測がある。生活習慣の改善により、不健康な期間は人生の終局の数年にとどめることができると考えられている

変身資産

  • 自分についての知識
    • 変化を経験しながらもアイデンティティと自分らしさを保つ
      • 自分についての理解している人は、人生に意味と一貫性を持たせる道を選びやすい
      • 「何かが変わるとき、何がかわらないのか」が重要な意味を持つ。
  • 多様性に飛んだネットワーク
    • 「ポッセ」と重ならないウィークタイズ(弱い絆
      • 新しい職に関する情報は親しい友達ではなく、それほど緊密な関係にない知人から寄せられる。
      • 「ポッセ」は自分が持っている情報と重複するが、ウィークタイズは新しい情報を持っている。
  • 新しい経験に対して開かれた姿勢
    • 型にはまった行動の打破 ルーチン・バスティング
      • 日常生活は決まった行動パターンで構成されているが、変身の過程では行動パターンが脅かされ、不安にさいなまれる
      • 型にはまった行動の打破によって好結果がもたらされると、新しい行動パターンを自分のアイデンティティとして組み込むことになる
      • 既存の行動パターンを破壊することが、変身資産の増強につながる

所感

なに!そんな時代がやってくるのか!という驚きはない。まあ、なんとなくそんな気はしていたけれど、やっぱりそうだよねという再確認と、32にもなったことだしもう少し健康には気を使おうかなという動機づけにはなると思う。

他の友人に勧められた別の本「弱いつながり」でも扱われていたくだりがここでも登場していた。個人的には何事にも臆しない「新しい経験に対して開かれた姿勢」については意識してきたつもりだし、これからも意識しようと思っている。東京から京都へと住む場所を変え、仕事を変え、というのもその要素の一つだと思っている。積極的に新しい経験を取り込みたい。

紹介してくれた友人も話していたが、本書は決めつけで書かれている部分が多く「そうなの?」「ほんとうに?」と気になる部分が登場するが、必要とされるであろうスキルや知識は概ね賛同できるので、前述の通り、再確認、くらいな気持ちで読むのが良いと思う。

【シェアハウス】冷蔵庫に入れるものには名前を書くということ

jippahitokarage.hatenablog.com

シェアハウスを渡り歩いた経験から、シェアハウスについて思い出されることを書いておこうと思う。

何のために名前を書いて冷蔵庫に入れるのか

どこのシェアハウスにも共通して存在する「共用冷蔵庫に入れるものには名前を書くこと」というルールは、シェアハウスに実際に住むまでは「自分の食べ物が他の住人に盗まれないようにするため」だと思いこんでいたが、実際には以下の目的のために名前を書いている。

・自分が人の食べ物を盗んでしまないようにするため
・冷蔵庫の棚卸し時の責任者の明示するため
・占有スペースを可視化するため

自分が人のものを誤って盗んでしまう

ひとつ屋根の下に一緒に暮らしていると、同じスーパーで同じようなものを買うので、自分が買ったものなのか、他の人が買ったものなのかが本当に識別できなくなってしまうことがある。その結果、自分が誤って人のものを食べてしまうということになりかねない。名前を書くというルールは「盗まれないため」ではなく、その逆、「自分が人のものを盗んでしまわないようにするため」に書くのである。仮に自分の食べ物が盗まれていたとしても、それは他の住人が故意に盗んで食べたのではなく「本当に区別がつかなくなって食べてしまった」と考えた方が良い。

名前がないと捨てるものも捨てられない

シェアハウスに入居する人数にもよるが、多人数で共用する冷蔵庫内の利用ルールもまた難しい。いつも清潔で健康状態が良い冷蔵庫をキープできれば良いのだが、賞味期限切れや腐敗が進んでいるものが発見されることもある。名前を書いて腐敗したものを処理する人が明らかになっていた方が良い。名前があるということは棚卸しの責任者が明らかになっていることを意味しているので、名前の書かれているものは責任者に任せてそっとしておけば良い。

ところが、名前の書いていないものが冷蔵庫にあると、「中身がよくわからない袋」がずっと冷蔵庫の奥で眠っているということが起こる。いったい、誰のものなのか、袋の中身が何なのか。状態さえもわからないままになってしまう。普通の人は、わざわざ自分以外の誰かの中身の分からない袋(おそらく腐敗しているであろうなにか)をのぞき込みたくないので、本当に冷蔵庫が活用されないほどになってしまったときに、有志によって初めて棚卸しされるのである。

ここで驚愕の事実、「誰だよ、名前書かないで冷蔵庫に入れるなよ」と思っていたその袋が、名前を書き忘れた自分の袋だったりすることもある。「俺のかよ!ごめん!」冗談のようだが、本当にそういうこともある。そう、上述の「盗んでしまわないように」にも共通する話だが、自分自身とて冷蔵庫の自分のアイテムをすべて覚えていられるわけではないので「自分のために記名する」ということを徹底したほうが良い。

冷蔵庫は区画整理されない

シェアハウスの共用部分は、基本的に自治によって成り立っているケースが多い。冷蔵庫の中も例外ではない。冷蔵庫の利用頻度は、自炊する派と自炊しない派で大きく異なるため、冷蔵庫の利用スペースは明確に定義されない。

自炊しない派の人々にとって冷蔵庫は関心がないので気にしなくても良い。ただ、自炊する派の人々の中で、その利用スペースの割合は配慮する必要がある。名前が書かれていないと、誰がどれくらいのスペースを専有しているのかが分かりにくい。一人でスペースを専有しすぎないように抑制力を働かせるためにも記名をして、互いのスペースを譲り合うようにする必要がある。

jippahitokarage.hatenablog.com
ここでも書いた通り、人それぞれ許容できる不快レベルは異なるので、しきい値の低い人に合わせて運用するという意識が必要なのである。

手抜きが料理を上達させる 「単位ひとくちあたりの塩分量を意識した目分量料理法」

料理が好き。クリエイティブな活動で脳が刺激される気がする。結局のところ、自分が食べたいときに、食べたいものを、食べたい瞬間の気持ちに合わせて作るものよりもうまいものはない。そう信じてやまない。

jippahitokarage.hatenablog.com

誰に習ったわけでもないが、大学時代に一人暮らしを始めてからやってきた料理は、結婚して嫁と暮らすようになった今も私の担当であるといって良いほどほぼ毎日料理をしている。料理を毎日していく中で、自分のスキルの上達も感じられるし、新しいレシピに挑戦するという楽しさもある。自分が独学で料理スキルを上げていく上で意識したことを紹介したい。

手抜きで工程の意味を理解する

  • 「ここで肉に下味をつけておきます」
  • 「きつね色になるまで揚げます」
  • 「肉と野菜を炒めてから、水を入れて15分煮込みます」
  • 「包丁のウラで肉をたたきます」
  • 「あくをとります」
  • 「皮をむきます」
  • 「出汁を加えます」

料理を紹介するテレビや本では、料理の工程の説明がメインなっていて、「なぜそうするのか」に答えていないケースが多い。それは「おいしくなるから」というのが答えではあるが、そこを知りたいわけではない。「なぜおいしくなるのか」を知りたいのである。

オライリーから出ているエンジニア向けの料理本で、料理をサイエンスの視点で書かれていてなかなかおもしろい。まわりで料理好きなエンジニアがいたら絶対に喜ばれるのでプレゼントしてあげよう。本で紹介されている「メイラード反応」は意識すると劇的に料理の味が向上するのでぜひおさえておきたい。

Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

さて、本の話はここまでにして、結局のところ料理は「味」なので、上達するには「自分で舌」で感じ取って経験し、フィードバックを繰り返すしかないのである。

そこで、料理を上達させるために、それぞれの工程をあえてすっ飛ばすということに挑戦して欲しい。

「あく?とらなくていいんじゃん?」「皮むかなくても食べられるでしょ?」「どうせ水いれて煮込むなら最初に炒める意味なくない?」「なんで肉たたくの?面倒だからいいでしょ」「下味ってなに。あとから味つけるんだからいいや」「出汁って入れなきゃだめなの?」

自分がもしかしたら必要じゃないのではないか、と疑問に思う工程があったら、勇気を持ってすっ飛ばして欲しい。

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いわゆる対照実験である。この工程は本当に必須なのか?と疑問視して、手抜きに挑戦してみて欲しい。飛ばしたものと飛ばさないもので、どのように変化するのか。その変化は自分の舌で感じ取れるか、感じ取ったとして許容できるか、ここを考えることで各工程の本当の意味を自分の舌で感じ取ることができる。工程の意味を知らずして、料理のアレンジなどできるわけがないのである。

料理の巧拙を決めるのは「塩分量」

嫁がWebでレシピを見ながらガパオライスを作ってくれたが、しょっぱ過ぎたのでほんの少量のガパオですべてのご飯をたいらげることに。しょっぱくなってしまった原因としての嫁の振り返りはこうだ。

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「おそらくレシピの記述が間違えている。大さじではなく小さじだったのでは。ナンプラー大さじ2杯とかいてあったが2杯も入れたらもともと70gしか入っていないナンプラーのビンの半分を入れることになった。ガパオライス2人前を作るのにビンの半分を使うとは考えにくい」

ナンプラーの密度がしょうゆと同等と仮定すると、しょうゆの大さじ1杯は18g*1なので、36g入れることになる。たしかに嫁の言った通り、ビンの半分を入れることになったようである。ただ、ここで問題なのは、ナンプラー大さじ1杯が料理全体に対してどの程度の塩分量になるのかを想像していないことである。この誤りは、レシピのせいではあるものの、これまでずっと目分量を信じて料理をしてきた私からすると、起こり得ない間違いなのである。

単位ひとくちあたりの塩分量を意識した目分量法

もう一度宣言しておくが、誰に習ったわけでもなく、完全にオリジナルの思想なので正しいかどうかは定かではないが、これまで鍛えてきた自分の目分量法を言語化するとこうなる。

おそらく味付けの難しさは、作る量にしたがうと言って良い。鍋で作る家族5人分の豚汁に味をつけるのと、寸胴作る50人分の豚汁に味付けをするのでは、50人分の豚汁に味付けするほうが難しいだろう。なぜなら「調理誤差」が大きいからである。

レシピのうち食材に関しては原則として、5人分作るのであれば1人分を5倍すれば良いが、こと調味料に関しては、実際には調理器具のサイズや火力まで線形に5倍になるわけではないので必ず誤差が生じる。これを私は「調理誤差」と呼んでいる。つまり、家族5人分の調味料の10倍の量で味付けをすれば同じ豚汁が50人分できるわけではないことを意味している。実際には、5人分の味付けのときには十分小さくて無視することができた蒸発して減る水分量や、食材そのものから出る水分量が違うこともあるのである程度のチューニングが必要になるのである。

ここで伝えたいのは豚汁50人分の作り方ではなく50人分のように「作る量が多いから味付けが難しい」ということである。逆に言うと、作る量さえ少なければ、誤差も少なく、自分の経験則から味が想像しやすいため、味付けしやすいのである。

さて、目の前にひとくちで口に収まるほどの豆腐が置かれ、これにしょうゆで味付けをしようというときに、人それぞれ好みはあれど、どの程度しょうゆをかければ良いのかがわからないという人はいないだろう。自分の中でどれくらいしょうゆをたらすとちょうどよいのかは経験則的に把握しているはずである。すべてはこれを基準に考えることにする。つまり、ひとくちで口に入る料理の量に対してしょうゆ(塩分)がどの程度含まれるべきなのかを基準にするのである。これが私が考えた「単位ひとくちあたりの塩分量を意識した目分量料理法」である。

フライパンで4人前の炒飯を作るときはどうだろうか。味付けで塩をふるときにどれくらいの量をふるべきなのか。それは「単位ひとくちあたりの塩分量を意識した目分量料理法」によって、スプーンやレンゲでひとすくいして口にふくむ量に対して、塩をどの程度ふるとちょうどよいのかを考えれば良い。

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(フライパンをモデル化したつもり)

4人分を4等分して、1人前が何口分になるのかを見積もる。もちろんもとの食材の量によって1人前の量は変化するが、人が食事をするときに口の中に含むひとくちはそこまで大きくは変わらないと考える。スプーンやレンゲひとさじにどの程度の塩がかかっていればよいのかを考えて塩を振る。もちろん、言うまでもないが「かけすぎると取り返しがつかない」ということを留意した上で、慣れないうちは味見をしながら慎重に味をつけた方が良い。

はじめは難しいかもしれないが、これを意識して料理をしなければ「塩分量に対する味の想像力」が養われないのでいつまでたっても目分量で料理ができない。失敗することもあるかもしれないが、常に単位ひとくちあたりの塩分量を意識しておけば、少しずつ自分の中にモノサシが形成され、目分量の精度も上がっていくことは間違いない。

「単位ひとくちあたりの塩分量を意識した目分量料理法」は応用できる範囲が非常に広い。ハンバーグに下味をつける、餃子のあんに下味をつけるというときも同じ発想で良い。ハンバーグを4等分すると1つのハンバーグは何口分になるのかを考えれば良い。餃子のあんに味をつけるときは、餃子1つ分を一口と考えればどれくらいの塩分量で味付けすればよいのかが想像できるだろう。

手抜きが料理を上達させる「単位ひとくちあたりの塩分量を意識した目分量料理法」おためしあれ。